阪神佐藤輝明内野手(22)が1日、今季限りで退任する意向を前日1月31日に明かした矢野燿大監督(53)に恩返しの日本一を誓った。

沖縄・宜野座でのキャンプ初日に「監督を漢(おとこ)にできるように」と宣言。20年のドラフト会議で4球団競合の末に引き当ててくれた指揮官に大車輪の活躍で花道を用意する。

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約8時間の猛練習を終えた佐藤輝はヘトヘトだった。それでも矢野監督が今季限りで退任する話題を振られると、表情が引き締まった。

佐藤輝 しっかり言葉にして、っていうところが監督らしいなと思いました。(自身にとって)最初のプロ野球の監督ですし、いろいろ教えてもらったことがある。教えてもらった野球を体現して、監督を男にできるように頑張っていきたいと思います。

幼い頃からテレビで見てきた地元西宮の球団に導いてくれたのが矢野監督だった。20年ドラフトで4球団競合の末、右手で当たりくじを引き当ててくれた。「みんなそこしか見てないと思うので頑張ります」。恩返しは17年ぶりリーグ制覇&日本一しかない。

能力を信じ、同時に成長も求めてきたのが矢野監督だ。昨年の春季キャンプではフリー打撃で特大飛球を見て「普通やで」と表現。基準を高く設定し、シーズンで本塁打を量産しても「振らないことでバッテリーに怖さを感じさせることが必要」と求めてきた。時にたたえ、時に叱咤(しった)してくれたからこそ、佐藤輝も満足することはなかった。

2年目のキャンプ初日のフリー打撃は全体練習で82スイング。その後の個別練習で156振して計238スイングしたが、柵越えは計6本にとどまった。昨年キャンプ初日の9本と比較すれば少ないが「今は飛ばすというよりフォームを確認しながら。本番で打つために考えながらやっていこうと思っています」と“本塁打度外視”で調整を進める方針。矢野監督も「去年の後半よりは良い」とうなずいた。

大山と三塁でのノックもみっちりと受け、最後はランメニューで終了。昨季終盤に痛めた左膝も問題はない。練習後には「しんどいです…」と思わず本音を漏らしたが「しっかり自分のためにと思って頑張ります」と力を込めた。捕って走って振りまくり、指揮官が驚く成長を遂げる。その先に矢野監督が飾る有終の花道がある。【中野椋】

▽阪神井上ヘッドコーチ(矢野監督の今季限りでの退任に) 監督の中で勝負に出たといったらおかしいけども、そういう発言をすることによって緊張感を持って、『1日1日大切にしなさいよ』『1年、1年勝負なんだよ、この世界は』っていうことを選手に言いたかったと(思う)。一個人としては“おい、今言っちゃうの”というのはあったけれど、監督のいろんな考えがあってのことなのでそこは否はないです。