ソフトバンク甲斐拓也捕手(29)がロッテとのオープン戦で今季の実戦初本塁打を放った。3回無死で本前の外角高め直球をとらえ、右翼テラス席へ運ぶソロ本塁打に「良かったです。やりたいことが少しはできたかなと思う」と、ホッとした表情。公式中継の実況アナウンサーも「これがJスイングだ!」と、興奮気味にうなる1発だった。

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧

昨季の打率2割2分7厘、リーグ最多142三振の改善を目指し、昨秋キャンプでは藤本監督から「右打ち」の意識を徹底された。春季キャンプでは「J」こと城島会長付特別チームアドバイザーから付きっきりで打撃指導を受けた。「打率は2割7分。0本塁打でいい」という助言を受け、従来の背中を丸めた構えから、シンプルに真っすぐ立つ形に取り組んでいる。

宮崎での実戦では8試合18打数無安打と苦しみ、今月2日のオープン戦中日戦でようやく初安打が出た。この日は本塁打の後にも3打席目に左前打を放ち、今年初のマルチ安打。「2月よりも違和感なく、自分のものになってきている。少しずつ形になってきているのかなと思います」と手応えを明かした。

我慢の時を乗り越え、光が見えてきた。「今、取り組んでいることを、信念深く貫いていきたい。今の目の前の1打席というより、143試合を通していい数字を残せるように」。開幕までの残り期間で、城島アドバイザーから学んだ「Jスイング」を自分のものにし、ワンランク上の捕手に進化する。【山本大地】