まさかの仰天起用だ! 阪神佐藤輝明内野手(23)が、中日とのオープン戦(甲子園)で「人生初」の二塁守備でフル出場した。練習開始からわずか2日で、併殺プレーを含む4度の守備機会をミスなく終えた。矢野監督は有事に備えてのオプション起用と説明した。チームは引き分けを挟みオープン戦4連勝で、13日に今季初となる巨人との「伝統の一戦」に臨む。

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サプライズ起用に、甲子園がざわついた。虎の新4番が二塁の守備位置でアナウンスされた。当の本人も前日11日に知らされると、思わず「えっ!?」と声が出たほど。「(人生で)守ったことはない。少年野球もない。初めてです」。10日のシートノックで初めて二塁を練習し、わずか2日。「監督も遊びで『セカンドにノックいけよ』と言っていると思ったら、本当にセカンドだったのでビックリした」と目を丸くした。

それでも佐藤輝は器用に守備機会をこなした。4回表1死一塁では、ビシエドの三ゴロで二塁ベースに入ると、強く正確な送球で「5-4-3」の併殺を完成。3度のゴロもきっちり処理した。矢野監督は「うまいところまではもちろんいくわけないんだけど、オプションの中に入れてもいい」と合格点を与えた。

これまで右翼と三塁を守り、今年の春季キャンプでも二塁の守備練習には取り組んでいない。指揮官は「『面白いんちゃうかな』というのと…」と口を開くと、その真意を語り始めた。

「可能性のあることはやっていこうかなと。1年間長いし、いろんなことがね。誰かがコロナになっちゃったとか、もちろんありうるし。想像したくないけどケガというのもある。調子が上がらないということもある。そういうことを考えると、いろんなオプションをやっておく必要があるのかなと」

決してお試しではない、シーズン中の有事に備えての起用。指揮官は「島田もいるんでね、そういうことも考えながら」と続けた。島田や糸井、小野寺ら外野陣が好調であれば一塁マルテ、二塁佐藤輝、三塁大山など、超攻撃的オーダー編成も可能に。さらに今季は延長12回制が復活し、終盤に内野手が不足した場合には「ウルトラC」として乗り切ることができる。

慣れない守備位置もそつなくこなした2年目スラッガーは「むちゃくちゃいい機会でした」と前向きに受け止めた。仰天起用が、虎を窮地で救う一手になる。【中野椋】