成り上がり伝説が幕開けする。巨人のドラフト3位赤星優志投手(22=日大)が13日、オープン戦の阪神戦(甲子園)に先発。5回4安打無失点、3奪三振、無四球の好投で開幕ローテ入りをたぐり寄せた。次回登板は中6日で20日楽天戦になる見込み。25日からの開幕シリーズ中日3連戦(東京ドーム)第3戦での先発デビューが決定的となった。

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鉄仮面ルーキー赤星が聖地のマウンドで、ほんの少しだけ表情を崩した。2回2死二塁、同じルーキーの阪神ドラフト4位前川右京外野手(18=智弁学園)へ、追い込んでからの6球目。外角へ落ちる135キロのフォークで空振り三振に仕留めた。1死二塁からロハスに続き、2者連続空振り三振でピンチを切り抜けた。眉間にしわを寄せ、下唇をかみしめる。感情がわずかに漏れた。

阪神打線を5回4安打無四球で無失点に封じた。74球の快投に「全体的にコントロール良く投げられたのが良かった。高校の頃から憧れの場所でもあった。すごく良かったです」とうなずいた。キャンプ中に教わった“桑田カーブ”をカウント球、決め球として有効的に駆使した。エース菅野からの助言でプレートを踏む位置を、三塁側から一塁側寄りに変更中。「ガッツポーズのやり方がわからない」ほどのポーカーフェースが、貪欲に開幕ローテをたぐり寄せた。

ここまでの道のりは決してスター街道ではなかった。日大鶴ケ丘高(東京)時代は、甲子園は雲の上の存在だった。2年秋は都立日野に打ち込まれて1回戦敗退。3年夏へ向け、野手との二刀流を辞めて投手に専念した。冬場は徹底的に走り込み、春先には球速が10キロ上がり140キロ中盤までになった。日大時代も4年春まで東都2部リーグで過ごした。屈辱を糧に、苦境を肥やしに、5年遅れで聖地にたどり着いた。

開幕ローテはエース菅野は確定。残り5枠も固まりつつある。ドラフト3位指名もキャンプ中は、新人でいち早く1軍昇格を勝ち取りアピールを続けてきた。桑田投手チーフコーチも「順調に来ていると思います」と高評価。本番前はあと1試合の調整登板を挟む。27日の開幕シリーズ中日3連戦の3戦目。鉄仮面ルーキーが視界に捉えた。【小早川宗一郎】

◆赤星優志(あかほし・ゆうじ)1999年(平11)7月2日、東京都生まれ。小1から野球を始め、下馬北町交通少年団に所属。日大鶴ケ丘では甲子園出場なし。4年春の東都2部リーグで最高殊勲選手、最優秀投手、最優秀防御率。21年ドラフト3位で巨人入団。契約金6000万円、今季年俸1000万円(金額は推定)。50メートル走6秒3、遠投110メートル。175センチ、78キロ。右投げ右打ち。

◆巨人先発ローテ争い 開幕投手を務めるエース菅野は決定。山口、メルセデスも順当で、キャンプからアピールを続ける山崎伊、赤星、堀田が好位置につける。今村に加え、2軍調整中の戸郷、高橋らが続く。