阪神藤浪晋太郎投手(27)が2年連続開幕投手を務め、7回6安打3失点で役割を果たした。

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初回に先制点を許したが、落ち着き払っていた。1-1と同点で迎えた3回2死一、三塁で再びサンタナとの勝負。カウント1-2から158キロの直球で見逃し三振に斬った。その後は流れを引き寄せず、159キロの速球から109キロのカーブまで緩急操り、7三振を奪った。

「調子が良かったわけではないですが、何とか粘ってゲームを作ることができたのは良かったですし、先発として最低限の仕事はできたのかなと思います」

1年前の「自分」への再挑戦だった。昨年3月26日、同じく小川と投げ合ったヤクルトとの開幕戦。5回2失点でマウンドを降りると、7回に新人の石井大が同点打を浴び、自身の開幕戦白星が消えた。「晋太郎さんの人生を変えてしまったかもしれない」と背負い込むルーキーに、先輩右腕は言った。「7回投げられない俺が悪い。石井は全然気にしなくていいよ。俺も中継ぎを経験して、気持ちは分かるから…」。その言葉で、ポキッと折れてしまいそうな新人石井の心を優しく包みこんだ。先発としてより長いイニングを投げきれなかった自分への戒めでもあった。

1年がたち、再び巡ってきた開幕戦。昨年の自分を超える7回のマウンドを守り抜いた。まさかの7点差逆転負けで、勝ち投手はスルリと逃げた。だが、2、3戦目に予定のプロ初先発コンビ、小川とルーキー桐敷を勇気づけるマウンドになったことは間違いない。【三宅ひとみ】