阪神西勇輝投手(31)が、完封勝利でチームの連敗をストップさせた。9回を投げ切り、7安打4奪三振。118球の熱投で、20年9月17日の巨人戦以来、プロ10度目の完封でチームに待望の「1勝」をもたらした。

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「僕は(東京)遠征行ってないので、連敗とか気にせず普通通りにマウンドに上がりました」。残留組の利を生かし、邪念を振り払った投球で、チームの完投&完封一番乗り。先発としての役割を全うした。

1つ1つ丁寧にアウトを積み重ねていった。最大のピンチは3点の援護をもらった直後の2回。1死一塁から大和に左越えの二塁打を浴び、二、三塁のピンチを招いた。だが要所を締め、流れを渡さなかった。「(佐藤輝に)大事なところで打ってもらって、次の回に失点をしないようにということだけ考えていた」。その後はリズム良く投げ込み、3回以降は二塁すら踏ませない投球で、DeNA打線を寄せ付けなかった。

プロ14年目で経験豊富な右腕は、若手への声かけを大切にしている。「ベテランができることは言葉のフォローだと思う」。試合中にミスをした後輩に優しく笑顔で声をかけ、気持ちを和ませる。今季初登板の前回3月29日広島戦では7回途中1失点と力投。しかし1点リードの9回にケラーが1死満塁のピンチを招き、後を託された湯浅がサヨナラ打を浴びた。自身の勝ち星は消えたが、悔やむ後輩に救いの手を差し伸べた。「中継ぎが抑えても、打たれたとしても、前に出て全員を鼓舞し続けることが自分のやるべき姿だと思う」。投手陣の先頭に立ち、チームをけん引している。

チームの窮地を救った右腕に、矢野監督は「最後まで勇輝に任したい思いでした。丁寧に投げる勇輝らしさをしっかり出してくれた。いい投球でした」とたたえた。西勇も「チームみんなで笑顔で、矢野さんに笑っていただけるような試合展開にしたい」と笑顔。背番号16が、最高の形で悪夢に終止符を打った。【古財稜明】

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▼西勇輝がプロ10度目の完封勝利で、阪神の22年1勝を導いた。西勇の完封勝ちは20年9月17日巨人戦(東京ドーム)以来で、甲子園に限るとその直前の登板だった同年9月11日広島戦以来。

▼昨季のチーム甲子園初戦、4月6日巨人戦(チーム開幕10試合目)でも、西勇は7回降雨コールドながら完投勝利。2年続けて甲子園での阪神初戦を白星で飾った。

▼阪神のシーズン初星が無失点勝利は、00年4月4日ヤクルト戦(神宮)2-0以来。このときは福原忍、遠山奨志、ミラーの継投だった。シーズン1勝目で完封投手が出たのは、95年4月14日巨人戦(東京ドーム)藪恵壹以来、27年ぶり。シーズン初勝利を甲子園で飾り、完封投手は70年4月12日ヤクルト戦の江夏豊以来、52年ぶり。

 

▼阪神の開幕連敗は9で止まった。プロ野球史上過去開幕からの2桁連敗は、55年トンボ12連敗、79年西武12連敗(2分け挟む)、02年ロッテ11連敗、61年阪急10連敗と4度あったが、寸前で仲間入りを免れた。

▼甲子園での公式戦初戦で阪神は、18年から5年連続勝利となった。00年以降16勝6敗1分けで、勝率7割2分7厘と強さが際立つ。