ヤクルトと楽天でプレーした由規投手(32)がBC・埼玉2年目の今季、コーチ兼任としてマウンドに立つ。NPB復帰を目指した昨季だったが、今季は一線を引く覚悟。9日のBC・神奈川戦で開幕する。

練習では選手へメニューの説明をして、一緒に体を動かす。「兼任だけど現役でやるのは、生半可でやろうと思ってない。NPB(復帰)に向かって、という目標ではない。もちろん行きたい気持ちはありますが、兼任でNPBに向かうというのは中途半端な気持ちになる。僕の中では一線を引いて、というか」と明かした。

新しい目標は、球速にこだわること。仙台育英では3年夏に甲子園で156キロを計測。ヤクルトでは最速161キロと、速球が代名詞だ。昨季の最速も153キロをマーク。「(NPB)スカウトに、現役として自分の位置を評価はしてもらいたい。そういう意味では、思い切ってやりたいことをやろうと思って、もう1回スピードにこだわって投げたいなと。(球速の)アベレージも上げたい」。

成功例を自らの体で見せることが、なによりの教材になる。「口で教えることも、実際に体現できるのが兼任の強み」と言う。独立リーグ1年目の昨季を振り返り「やっぱり現役がやりたかったんだと改めて感じました」と楽しさを再確認した。新しいステージに踏み入れる今季の目標は「すべて全力でやる。妥協は一切なしです」。いつもの笑顔はまぶしかった。【保坂恭子】

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由規の一問一答

-兼任になって変化は

めちゃくちゃありますよ。現役である以上は自分のことをやらないといけないけど、育成のことを考えながら。教えるということは、自分ができないといけない。できるのかなという不安な気持ちは正直ありました。ドラフトに送り込まないといけない場所なので、プレッシャーもあります。

-コーチとしても現役としてもプレッシャーがある

兼任だけど現役でやるということは、生半可な感覚ではやろうと思っていない。むしろ最低限、去年よりは投げないとダメだと思う。コーチになって、NPB(再挑戦)に向かってという目標ではないので。もちろん行きたい気持ちはありますよ。ただコーチ兼任をやりながらNPBに向かうというのは、中途半端な気持ちでやることになる。僕の中では一線を引いてというか。

-覚悟を持って臨む

ただ、スカウトに現役として自分の位置を評価はしてもらいたいです。そういう意味では、今年思い切ってやりたいことやろうと思って、もう1回スピードにこだわって投げたいなという意識がある。

-仙台育英3年夏に甲子園で156キロを計測。ヤクルトでは最速161キロ

去年の最速は152、153キロ。(球速の)アベレージも上げたい。去年に比べたら、状態は今の方がいい。球速にこだわってやりたいのは、それがコーチとしての自分の価値を高める特権というか、教材になるんじゃないかなと思う。口で教えることも、実際に体現できるのが兼任の強み。

-今までたくさんのコーチの元でプレーしてきた

今まで携わった投手コーチはみなさん色が違うので、いいところを吸収したい。長い期間で言うと、智さん(伊藤智仁)や石井(弘寿)コーチ、荒木(大輔)コーチ。みなさんストイック。智さん(の元で)は、キャンプの期間もすごい投げ込んで、僕はこれだとつかむきっかけになった。独立リーグはもっと倍以上やらないといけない。これはきついと思ってやっていたけど、大事な練習だったんだなと今思います。

-独立リーグ2年目になる

1年やったことで、やっぱり現役がやりたかったんだと改めて感じました。ファンの前で投げている事実が楽しかったり、刺激もあるし、ワクワクするところもあるし、その根本はNPBでもどこでも変わらないと感じました。

-プロ15年を迎える今年。どんな1年にしたい

レベルの低い話かもしれないけど、元気よく投げ続けて結果を出して、インパクトを残せればと思う。見てくれている人は見てくれている。それによって、チームの人気やBCリーグの知名度が上がって、野球界全体を盛り上げる可能性があるはず。ヤクルトがビジターだから、BCリーグに見に行こうかなと思ってくれたらうれしいです。コーチとしては初めてなので、すべて全力でやる。妥協は一切なしです。