阪神はDeNAに逆転負けを喫して、敵地で同一カード3連敗を喫した。雨の横浜で明暗を分けたものは何か? 広島3連覇監督で日刊スポーツ評論家の緒方孝市氏(53)が「投手攻略への意識」と「選手入れ替え」の2点を打撃浮上のポイントに挙げた。【聞き手=田口真一郎】

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阪神にすれば、巨人戦に勝ち越した流れを失う、あまりにも痛い同一カード3連敗になった。ここまで得点力不足に苦しんでいるが、この試合を見て感じたことが2点ある。

まず打線をつなげていくための意識の重要性だ。試合前から雨予報は分かっていた。DeNAの打者には、投手の足元をめがけたセンター返し、基本に忠実な打球が数多く見られた。私も監督時代に采配を振る中で、雨の人工芝では、フライよりも強いゴロを打たせることを心がけさせた。人工芝は雨でぬれると、スリップする。野手の横に打球が飛ぶと、球足が速くなり、ヒットになる確率が上がる。広島で同じユニホームを着た石井琢朗コーチが今年からDeNAで野手総合コーチを務めている。おそらく彼がそういった指示を出しているはずだ。1番で復帰した楠本を起点に打線がつながり、結果に表れた。

チームとして、どういう攻撃の形で相手投手に襲いかかるか。首脳陣が指示をして、選手に意識を持たせる。得点を取るという意識を比較すれば、両チームの違いが出た試合内容だった。

もう1つは、チャンスをもらった熊谷、山本が結果を残したという点にある。打順の変更が注目されるが、打順をいじるだけでなく、いろんな選手を積極的に起用していく。大山にしろ、近本にしろ、主力の調子が悪いなら、危機感を与えるためにも、大幅な入れ替えをやっていくべきだろう。代打で満塁本塁打を放った小野寺もそうだ。チャンスをものにしようと、いい働きをした選手にどんどんチャンスを与える。もう1度、競争というものに立ち返るのも必要だ。

その上で前述したように、チームとして、いかに相手投手を攻略するか。本塁打が出るに越したことはないが、それはあくまで流れの中の副産物。打線をつなげるための意識を強く持つ。この積み重ねが143試合のペナントレースで、チーム全体の打率や得点といった成績につながる。