8番打者が決めた! 広島小園海斗内野手(21)がDeNA戦(マツダスタジアム)の延長10回にサヨナラ犠飛を放ち、劇的勝利に貢献した。開幕から3番での起用が続いていたが、打撃不振に陥り、今カードから打順は8番に下がっていた。主軸を外れた正遊撃手の決勝打でチームは今季3度目の同一カード3連勝。DeNAとの対戦成績は6戦6勝となり、首位巨人に2差に迫った。

【関連記事】広島ニュース一覧

3時間59分で試合を決着させた小園が、一塁付近で跳びはねた。無邪気な笑顔で、何度も跳んだ。延長10回、1点差を追いつき、なおも1死満塁。DeNA6番手三嶋が投じた高めの直球を振り抜いた。中堅フェンスにあと数メートルで届く大きな中犠飛。試合を決めるには十分の当たりを、一塁ベース手前で見届けた。サヨナラの走者は余裕で生還。ナインにもみくちゃにされた。「初めてサヨナラを打ったので、まだ震えています」。今季初のお立ち台に上がり、歓喜の余韻に浸った。

開幕から3番で起用されたが、思うような結果を残せなかった。開幕から3カード9試合を終えた時点で打率は1割3分9厘。規定打席到達者で最下位だった。向上を図ろうと、試行錯誤を重ねた。バットを替えたこともあった。普段はオールドスタイルだが「気分転換」とズボンを下ろし、ストッキングを隠したときもあった。「軸足に意識を」とフォームに微修正も加えた。

今カード前には打率1割6分9厘で打順が8番に下がったが「試合に出られていること自体がうれしい。感謝しかない」。中軸から外れたあと、3戦で10打数3安打3打点と復調の兆しを見せる。「これをきっかけに、どんどん暴れていきたい」。小園の決勝打でチームは4連敗ののち、3連勝。DeNA戦は6戦6勝で首位巨人に2ゲーム差に迫った。チームの好調の波には乗り遅れたが、小園の挽回はここから始まる。【前山慎治】

○…抑えの栗林にプロ初ホールドがついた。同点の9回に5番手で登板。2四球と安打などで2死満塁を招いたが、楠本を投ゴロに仕留めた。初ホールドに「知らなかった。ただ、投げ終わってベンチに戻るのが初めてだったので、新鮮な気持ち。ゼロで抑えられて良かった」と喜んだ。6回からブルペン陣がつなぎ、黒原、2勝目を手にした塹江は1失点したが、佐々岡監督は「ずるずるいくのではなく、最少失点だった」と粘りをねぎらった。

○…広島坂倉の同点打がサヨナラにつながった。3-4の延長10回。無死一、二塁から三嶋から中前に運び追い付いた。「打てて良かった。(後ろに)つなげられて良かった」。6回にも適時打を放ち、リーグトップの得点圏打率は5割に。ただ直前に牧にソロを浴びており、捕手として「その前に打たれたので、そこは勝って反省」と気を引き締めた。

○…広島玉村は5回2失点と試合をつくった。失点は3回1死から四球で出した走者を背負い、大田に浴びた2ランのみ。中16日と空いた登板間隔は「問題ない」とし、「四球から本塁打になったのでそこは反省している。技術不足。野手の方に助けてもらって感謝」。一時2点リードを許したが負けを消してくれた野手に礼を言った。

○…広島西川が2号ソロを含む3安打猛打賞で貢献した。0-2の4回無死で大貫の内角球を右翼席へ運び、3-4の延長10回は先頭で四球を選び同点のホームを踏むなど、攻撃をけん引。「最後の四球は良かった。先頭が出ればなんとかなると思って、出塁することだけ(を考えていた)」。リーグ最多34安打の製造機が、選球眼で劇的勝利の口火を切った。