日本ハム石川直也投手(25)が954日ぶりに1軍マウンドに帰ってきた。西武8回戦(ベルーナドーム)の7回に登板。1回1安打無失点、3奪三振で最速149キロを計測した。20年8月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、1軍登板は19年9月27日オリックス戦以来。好スタートを切り、今度は守護神返り咲きへと突き進む。

    ◇    ◇    ◇

上気したほおに、954日ぶりの余韻が残っていた。石川直が、右肘のトミー・ジョン手術を経て1軍マウンドに帰ってきた。「楽しかったです。やっぱり緊張もしましたし、すごくワクワクしました」。1回1安打無失点、3奪三振に「ゼロから始まったのは良かった」と、かみしめた。試合前に新庄監督から「今日(登板)あるよ」と伝えられていた。大型連休の最終日。石川直にとって、待ちに待った瞬間だった。

出番は7回。先頭に中越え二塁打を許したが、帽子を振り落として、この日最速149キロを計測。落差あるフォークもさえた。1死三塁、この日2本塁打の山川をフォークで空振り三振。続く中村も連続三振でピンチを断った。「いい打順だった」と相手に不足はなかった。BIGBOSSは「山川君が立って、石川君が投げて振るんだから多分、相当いいボールが来ていたんじゃないかな。中村君とね。楽しみな投手です」とクギ付けだった。

守護神定着を目指した20年8月、右肘手術を決断した。当時24歳。医師からは、このタイミングなら早期回復できると背中を押され「意外とスムーズに手術に入れた」。同時期、斎藤佑樹氏が同箇所にメスを入れずに治療する方法でリハビリしていた。「手術したほうが患部が強くなるという話だった」と信じて歩んできた。

過酷なリハビリ生活の中で結婚し、長女が生まれた。「力になりました」と険しい道のりを照らしてくれた。この日は母の日。登板前、母から「頑張って」とLINEが届いた。「いい結果が残せたので良かった」と最高の形で応えた。プロ8年目で表舞台に返り咲き、次に目指すのは抑えの座。「今は北山がやってますけど、ここからは奪い取る気持ちでやっていきたいと思います」。新たな目標に向かって、再出発した。【田中彩友美】

【関連記事】日本ハムニュース一覧