近大が勝てば優勝、負ければV逸の一戦を制し、3季ぶり48回目の優勝を決めた。投手陣が引っ張って頂点へ。田中秀昌監督(65)は「久保と大石。投手陣が粘り強く投げてくれた。打線はなかなかかみ合わなかった」と勝因を語った。

先発の久保玲司投手(4年=関大北陽)が序盤から安定した投球。3回は無死三塁のピンチを背負うがスクイズ失敗を誘い、さらに2つの空振り三振を奪って窮地を脱した。140キロ台前半の速球を生かし、変化球を低めに集める丁寧なマウンドさばきが光る。5回無失点で役割を果たした。

最速151キロ左腕でプロ注目の久保は「悔いのない球を投げようと思った。気持ちだけで抑えた」と振り返った。重圧のかかる一戦で昨夜は寝られなかったという。「とにかく緊張していた。全然、寝付けなくて…」と明かす。約4時間の睡眠で大一番のマウンドに立った。

打線も応えた。4回に犠飛で先制。京大を突き放したのは6回だ。無死一、三塁で谷口嘉紀外野手(4年=神戸国際大付)が左越えの適時二塁打で2点を追加した。さらに1死二、三塁で代打松井健士外野手(3年=三重)が前進守備を破る右前適時打で加点した。敵失にも乗じて一挙5点を奪った。

この日の京大戦を敗れれば、同大に優勝をさらわれていた。自力で栄冠をつかんだ。田中監督は「久しぶりの東京。関西の意地を見せたい」と意気込んだ。近大は6月6日に開幕する全日本大学野球選手権に出場する。同日に東京ドームで和歌山大(近畿学生)との初戦を迎える。