「日本生命セ・パ交流戦」が開幕し、セ最下位の阪神がパ首位の楽天との投手戦を制し、白星発進した。

大山悠輔内野手(27)が6回表に左翼フェンスに激突しながら、飛球を好捕。その裏、先発田中将から中前に決勝タイムリーを放った。大山は昨季も仙台でマー君から決勝2ラン。復調気配の主砲が先頭に立ち、虎が逆襲に打って出る。

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大山は今春、“映えたい”という感情を懸命に抑え込んでいた。

2月のキャンプ中から佐藤輝との4番争いが話題の的に。特打は同組。ともに三塁ノックを受ければ、シャッター音が響き渡った。

「やばいです。怖いです。大変です…」

苦笑いで本音をこぼした時期もあった。

球界屈指の長距離砲と比較される毎日。時にはあえて視界から背番号8のフルスイングを外した。

「テルは僕らから見ても、飛距離だったり本当にすごい。正直うらやましい。映えますから。でも、飛距離では勝てない。張り合ってフォームを崩してしまうのだけは嫌だったので」

映えなくてもいい。走攻守で泥臭く勝利に導ければいい。必死でリーダー像を貫けているから、値千金の一打は生まれたのだろう。

慣れない左翼でフェンスに激突しながらジャンピングキャッチ。そして、2年連続のマー君打ち。決勝打は2ボール2ストライクからミートに徹した姿勢が印象的だった。

いつの間にか25打点はチーム単独トップ。背番号3が先頭に立つと、虎は落ち着いて映る。【遊軍=佐井陽介】

 

矢野監督(6回の大山の好捕に)「いやー、むちゃくちゃ難しいと思うよ。フェンス際でしかも伸びるしね。あの球際でしっかり捕ってくれたというのは、1打点と同じくらいというか、もっとかもしれん。それぐらいの価値はあったと思います」