韋駄天(いだてん)、完全復活だ! ソフトバンク周東佑京内野手(26)が昨秋に右肩手術を受けて以来、初の本塁打をマーク。今季5度目の同一カード3連戦3連勝&交流戦首位タイに浮上に大きく貢献した。

その一振りが、勝利を決定づけた。6点リードの6回無死一塁。薮田の145キロ直球を「今までの人生で一番良かった」という感触で右翼スタンドに運んだ。1軍では昨年5月7日の西武戦以来、約1年ぶりのアーチ。「本当にリハビリを頑張ってきて良かったなと、あらためて思いました」。手術後初めてのお立ち台。感慨はひとしおだった。

20年パ・リーグ盗塁王は昨年9月に右肩を手術。筑後市のファーム施設で右腕を固定し、屋外練習場の外野を歩くところから始まった孤独なリハビリは半年近くに及んだ。「何回も気持ちは折れました」。支えはファンの熱い声援だった。

「戻ってこれるか本当に心配だったんですけど、たくさんの方々に支えられて、ファンの方にも待ってますと応援をいただいた。1日も早く1軍に戻って、しっかりプレーできるようにと過ごしていました」

今月25日の敵地DeNA戦で待望の1軍復帰を果たすと、代打で二塁打をマーク。27日の広島戦でスタメンに戻り、5試合で13打数6安打の打率4割6分2厘、2盗塁の大奮闘だ。この日も3点リードの4回にセーフティスクイズを決めて中押し点をゲット。大技小技で復活に花を添えた。

ヒーローインタビューの途中、白と黒の猫がグラウンドに乱入するハプニングがあった。一塁スタンド方向から現れ、三塁側方向へ猛ダッシュ。「速いですね! びっくりしました!めっちゃ速かったっす」。猫に復活をお祝いされた韋駄天もびっくりの快足。最後は即席の猫ポーズを決めてファンを沸かせた。

3回は牧原大、4回には三森も本塁打。そして周東が今季初の2試合連続3発の花火大会を締めた。首位楽天とは0.5差。苦汁をなめた背番号23が、V奪回の使者になる。【只松憲】

○…鷹のジョーカーこと2番牧原大が、2戦連発の3号ソロでリードを2点に広げた。3回2死でアンダーソンのチェンジアップを右翼席へ。「打てる時に、たくさん打っておかないといけないという気持ちですね」。4回にも右前打を放ってマルチ安打を決めた。交流戦は2本塁打、7打点と絶好調。打率も5割2分6厘に上げ、交流戦の首位打者に浮上した。

○…1番三森も復活モードだ。リードを4点に広げた4回、なお2死一塁の場面。高めに浮いたアンダーソンの147キロ真っすぐを逃さず、右翼ポール際に16試合ぶりとなる6号2ランを運んだ。3試合ノーヒットが続いていたが、21打席ぶりのHランプを中押し弾でともした。「いいタイミング、いいスイングでとらえることができました」と会心の一撃で、復調の手応えをつかんだ。

○…6投手の継投で先発和田の負傷降板を救った。2-0の4回2死二、三塁で緊急登板した2番手松本は、坂倉を中飛に仕留めて無失点。5回も0封して今季2勝目を手にした。その後も藤井、嘉弥真、板東、津森、モイネロが0のバトンをつないだ。藤本監督は「いい形で0点リレーをしてくれましたね」とご満悦だった。

○…好調の柳町が9試合連続安打をマークした。2点リードの4回1死二塁。アンダーソンの内角のスライダーを右中間に運ぶタイムリー三塁打で3点差に拡大。「走者をかえそうという気持ちだけでした。追い込まれてしまいましたが、うまく打つことができたと思います」。広島3連戦は10打数4安打、5打点で打率4割。通算打率も3割2分8厘に上げた。

グラシアル(初回にアンダーソンから先制決勝の右前タイムリー)「浮いたスライダーをコンタクトすることができた。絶対に走者をかえそうと打席に入ったし、大事な先制点を取ることができてよかったよ」

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