日本ハムが「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦(マツダスタジアム)で逆転負けを喫した。新庄剛志監督(50)はブレずに選手の成長を最優先に采配を振ったが、結果は悔しいカード負け越しとなった。3日からは指揮官のプロ野球人生の原点、甲子園での阪神3連戦。すでにチケットは完売。大歓声の聖地で、さらなる成長へとつながるBIGBOSS野球を披露する。

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新庄監督は、じっと見守っていた。1点リードの5回1死満塁の大ピンチ。3番手でマウンドに送ったのは、春季キャンプ中にアンダースローへ転向させた鈴木だった。「アピールチャンス」。打席には広島の4番マクブルーム。鈴木を今季初昇格させた今カードの初戦から、対戦させたかった右の強打者。勝負が決したのはフルカウントからの10球目。低めのスライダーを見切られ、押し出し四球となった

新庄監督 向こうの4番バッターは、ああいう下から投げるピッチャーと、あんまり対戦したことないからダブルプレーのイメージで送った。けど、フォアボールは、ね。避けてほしかったし、デッドボールも。

鈴木は続く坂倉にも押し出し四球。1死後に宇草には押し出し死球を与えた。そして中村奨に走者一掃の適時二塁打を浴びた。それでも、続投させた。

新庄監督 あれが成長させるポイントでもある。「次の回、抑えろ」と。

鈴木は1安打こそ浴びたが、6回は無失点に抑えた。「次の回、いい感じだった」とBIGBOSS。鈴木には投げ方も変更させ、シンカーも習得させた。全ては、この日のような場面で結果を出して、厳しい世界を生き抜いてもらうため。チームの敗戦という大きな代償も払う覚悟で任せたマウンドだっただけに、試合後も勝敗に関して触れることはなかった。

ブレない信念で突き進む新庄監督は、交流戦での選手たちの戦いぶりに「毎日、ゲームは面白い」と実感する。3日からは甲子園で、古巣阪神との3連戦だ。

新庄監督 甲子園の大歓声の前で選手はプレーできる。気合も入っているだろうし、経験の1つとして楽しみながらグラウンドで暴れてほしいですね。

聖地凱旋(がいせん)。近い将来へ向けた種まきもしながら、チームの成長を加速させる。【木下大輔】

○…今川が、先制点の起点となった。3回、三塁走者で初球に重盗のサインが出て本塁生還。BIGBOSSチルドレンの1人は「(サインには)もう驚かなくなった。捕手が投げる瞬間に思い切って行こうと。練習の成果が出たかなと思います」と笑みを浮かべた。今季3度目の3安打猛打賞の奮闘も、勝利にはつながらなかった。「やっぱり自分が打って勝ちたい」とリベンジを誓った。

○…伊藤の次回登板が不透明になった。3回に右ふくらはぎ外側に打球が直撃。志願して5回続投も2四球と暴投で無死一、二塁を招き、足を引きずりながら降板した。「しっかりとあのイニングを完了させなければいけませんでした」。登板後はアイシングと電気治療を施したが、新庄監督は「様子見だけど、1回(登板を)飛ばしてね。当たり所がね」と出場登録の抹消を示唆した。

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