中日大野雄大投手(33)が、チームを救った。8回に2死満塁のピンチを背負ったが、代打石川を空振り三振に打ち取り、8回3安打無失点で4勝目。リーグ戦再開初戦でチームの連敗を6で止め、最下位からの脱出をけん引した。

0-0の8回2死一、二塁。代打中田に対し、フルカウントから内角低めに投じたフォークはボール。だが、悔しいそぶりはつかの間。続く石川は直球で追い込み、外角低めのボール球のストレートで空を切らせた。口を一文字に引き締めたまま、ベンチに向かった。

「気持ちで抑えました。しっかり腕を振って次の球に生かすために、迷わせるための1球。しっかり自分の球が放れた」。直後の味方の勝ち越しにつながった熱投に、胸を張った。

2年目の高橋宏らに、エースの背中を見せ続ける。心得は昨年まで投手コーチを務めた阿波野秀幸氏(野球評論家)に学んだ。「(好投が報われない時に)雄大はやることやってるから切り替えていこう、と励ましてくれた。3年間、身に染み込ませた」。18年6戦3敗とどん底の左腕を、20年沢村賞に引き上げた元近鉄エースに感謝した。

巨人菅野との投げ合いでは、14年7月25日以来の白星。「下を向いていてもしゃあない。やられたらやり返す。きょう取ると取らないでは全然違う。勝っていくしかない」。チームの連敗を6で止め、エースは残り試合を見つめた。【伊東大介】

▽中日R・マルティネス(20試合連続無失点で16セーブ)「絶対勝つという気持ちで投げた。大野さんが素晴らしい投球をしていたので、流れをもらえた」

 

○…阿部が決勝の2点適時打を放った。8回2死二、三塁で、巨人ビエイラの初球158キロ直球をバットを折りながらしぶとく右前に運んだ。「大野さんが頑張ってゼロを並べてくれた。変なヒットだけど、落ちてくれて良かった。バットに当たってくれと振ったら、当たった」。今季7度目の決勝打で上がったお立ち台で、笑顔を振りまいた。