今季は「脱皮」の年-。巨人戸郷翔征投手(22)が、前回対戦(6月26日)で3回途中6失点でKOされたヤクルト打線を6回1失点に封じ、優勝マジック51からのカウントダウンを許さなかった。

昨季の前半戦に並ぶリーグトップタイの8勝目を挙げ、初の2ケタ勝利へ前進。打線は1点先制された直後の1回に1番吉川尚輝内野手(27)からの5連打で逆転。14カード連続勝ち越し中のヤクルトに、7カード連続勝ち越しなしの巨人が先勝した。

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魂を込めた。戸郷が心と体のギアを1段上げた。3点リードの6回2死三塁。「球数もいってましたし、ラスト(イニング)だと思った。いい投球がなかったので、何とか1球1球、魂を込めて、粘り強くいこう」と持ち味の直球で攻めた。体が浮き上がるほどのダイナミックなフォームで押し、最後はこの日最速タイの151キロで遊飛に仕留めた。6回4安打1失点。首位ヤクルトを相手に、借りを返した。

3回途中6失点と今季最短KOを食らった前回対戦(神宮)の記憶がこびりつく。立ち上がりは連打と犠飛で早々に先制される嫌なムードが漂った。「前回の試合を引きずっていた部分があった」。それでも桑田投手チーフコーチの「(左)肩が開いてるぞ」というアドバイスから修正。「やり返してやるぞって気持ちで来ました」と、たぎる思いを投球にぶつけた。

今季こそ、過去の自分から「脱皮」する。2年連続2ケタ勝利目前の9勝。オフ期間から追い込んだ。自主トレは地元の宮崎でも、実家のある都城市から約130キロ以上離れた延岡市内のホテルに滞在。同市にある母校・聖心ウルスラ学園で汗を流した。大好きな「モモコ」と「アズキ」の猫2匹に会う時間も惜しんだ。「かわいいから会いたい。でも、休んでる暇はない。年に1、2日しか会わないから顔も忘れられてます」と自虐的に笑う。母ヒトミさんとの電話口から聞こえる2匹の鳴き声が、楽しみだった。

侍ジャパンの栗山監督が視察する中で、リーグトップタイの8勝目。チームを支える獅子奮迅の活躍の先に、新しい領域も見えてくる。「今は1つ1つゲームをこなすだけですけど、いずれはそういうところを目指しながらやっている。選ばれるように強気な投球をしていきたい」。“未来のエース”が“未来”にまた1歩、近づいた。【小早川宗一郎】

▼巨人は初回、1番吉川から5番坂本まで5者連続安打を放って逆転勝ち。巨人が初回先頭打者から5連打は97年6月6日中日戦で1番後藤→2番仁志→3番松井→4番広沢→5番清水が記録して以来、25年ぶり。巨人の連続安打で思い出すのが96年7月9日広島戦の9連打。11ゲーム差で迎えた首位広島戦の2回に記録し、ここから巨人の逆襲が開始。最大11・5ゲームあった差をひっくり返して優勝したが、今年も「連打」から逆襲が始まるか。

▽巨人大城(2点リードの4回先頭、左中間への2戦連発の5号ソロ) 初球から積極的に打ちにいけていることが、好調の要因だと思う。久しぶりに逆方向に打てたので、うれしかったです。

▽巨人メルセデス(発熱で登板回避した影響で、中13日で臨む6日ヤクルト戦へ) 気持ちでは絶対に負けないように、自分の投球をすることに集中して頑張ります。オウエンヨロシクオネガイシマス!

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