日本ハム伊藤大海投手(24)がプロ最多135球の熱投で、7勝目を挙げた。

ソフトバンク14回戦(ペイペイドーム)に先発。初回に自らの送球ミスが絡むなど2点の先制を許したが、2回以降は立ち直り、追加点を与えなかった。8回を5安打2失点(自責1)、今季最多の8三振を奪った。チームは3連勝で、首位相手にカード勝ち越しを決めた。

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ロジンの白煙を巻き上げながら、伊藤がギアを上げた。8回。新庄監督の「OK?」サインに、「OK」サインで応えてマウンドに上がった。「行かせてもらったからには、球数も気にせずに投げようと思った」。2番からの上位打線を3者凡退。自己最多135球を投げ込み、8回を5安打2失点(自責1)にまとめた。今季最多8三振を奪い、7勝目を手にした。

立ち上がりの嫌な流れを、自ら断ち切った。初回先頭に二塁打を浴び、続くバント処理では、三塁への送球がそれた(記録は失策)。自ら傷口を広げ、いきなり2点を献上。「何となくボヤっと、すごくバタついた入りだった」と反省し、気持ちを切り替えた。2回以降は立て直して、ストライク先行の投球。1点リードの5回2死二塁のピンチでは、周東を空振り三振に切るなど、要所で三振を奪い、流れを渡さなかった。

試行錯誤を繰り返し、進化してきた。今回は登板前日の8日に「明らかに違う何かをしようと思います」と予告。正体は大学時代以来のフォークの解禁だった。既に投げているスプリットより握りを深くし、加藤やポンセらから助言を受けて改良。スプリットとフォークを使い分けて的を絞らせず「意外と使えるかな。まだ『こばけフォーク』くらいだけど」と新たな武器に手応えをつかんだ。

一層の気合が力投につながった。相手先発の東浜には「実はすごく憧れを持っていた」。昨年の東京五輪後には直接、祝福の言葉をもらい感激したという。「テンポよく投げられていたので、負けじと付いていく気持ちで投げました」。6回途中で降板した東浜よりも長く、マウンドに立ち続けた。

新庄監督は「9回は『バツ』ってするから、オーケーオーケーって。頼もしいですね」と成長を喜んだ。チームは3連勝で首位相手にカード勝ち越し。伊藤は「気持ちで何とか最後まで持っていったので、明日ドッと疲れがくるかな」。夏場の快進撃へ、風格が漂い始めた右腕の存在は欠かせない。【田中彩友美】

▽日本ハム近藤(5回に決勝点となる勝ち越しの右犠飛) 最低限の仕事をすることができて良かったです。

▽日本ハム・ヌニエス(4回に同点4号2ラン) 最高のスイングで同点にすることができて良かった。

▽日本ハム松本剛(今季4度目4安打でシーズン101安打。9回には今季20個目の盗塁) とにかくヒット数を少しでも多くと思って臨んでいる。積み重ねていけているのでうれしい。

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