大山抹消ショックを振り払った! 阪神が今季最多の19安打&13得点で13日の巨人戦(甲子園)に圧勝した。

4安打固め打ちの中野拓夢内野手(26)は今季の安打を101本とした。新人年から2年連続の100安打到達は球団7人目の快挙。また監督推薦での球宴選出と合わせ、Wの喜びとなった。この日の試合前には大山悠輔内野手(27)が新型コロナウイルス陽性判定を受けた近親者の濃厚接触者となり登録抹消。中心打者の穴を全員で埋め、2位巨人に再び2・5ゲーム差に迫った。

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360度、ファンの思いは同じだった。「ホームランホームラン中野-」。思わず声に出してしまう。サイクル安打に王手をかけた8回2死一、二塁。中野が左腕今村の内角高めボール球を豪快に空振りすると、甲子園のボルテージはまた上がる。二ゴロに倒れても、大きな拍手が響いた。

「6打席目に『ホームランを打とうかな』という意識はあったんですけど、打てなくてすいませんでした!」。お立ち台では3万9124人のファンに向け、ペコリと頭を下げた。

「ファンの皆さんも盛り上がってくれていたので、何とか狙ってはいたんですけど…。そこは今後のためにとっておいたということで、お願いします」

初回に左前打で出塁し、先制のホームイン。2回に中二塁打、3回に左前打で早々に今季10度目の猛打賞を決めた。6回には右三塁打でサイクル安打にリーチ。「ウル虎の夏」にふさわしい猛打を演出し、球団史上7人目の新人から2年連続100安打に到達した。

6月下旬から1番に定着。「いつか打ってみたい」と抱いていた思いを2年目で実現させている。「目の前で近本さんを見ていたので積極的にいって、追い込まれても簡単に三振しない。それが1番打者にとって大事」。かつて語った理想に近づく日々。セ最多安打を走る近本には4安打差で追走。誰の目にも堂々の切り込み隊長だ。

この日、大山が特例2022の対象選手として出場選手登録を抹消された。主軸の離脱のショックを振り払う今季最多19安打13得点。矢野監督も「いつどう(感染者が)出てもおかしくない。全員でやるしかない。そういう意味では全員でできた」とうなずいた。

「何とかカバーしようと。自分が初回に塁に出ればいい勢いになると思っていたので、チームに勢いを持ってくることができたのはよかった」。背番号51も力強く続く。監督推薦で2年連続の球宴出場が決まっても「去年はヒットも打てていないので、何とかヒットを打つことを優先に」と控えめ。ウルトラヒーローはどこまでも謙虚だった。【中野椋】

○…4番佐藤輝は渋く序盤猛攻に貢献した。1点先制直後の1回1死一塁。詰まったゴロがシフトの逆を突き、三塁内野安打で一、三塁に好機を拡大して、この回3得点の先制劇をつないだ。4点リードの2回1死二、三塁では2ボール2ストライクから右犠飛を運び「食らいつきました。最低限の仕事ができた」。疲労を考慮され、7回表の守備からベンチに退いた。

○…山本は古巣巨人を相手に自身初の1試合4安打を決めた。3回は先頭で右前打を放ち、7点目のホームイン。8回には中前適時打も放った。「いつも通りしっかり狙い球を絞っていきました。4安打は初めて。自信にもなります」。巨人戦では4月30日に1028日ぶりアーチを運ぶなど活躍が続く。「たまたまです。ただ、もちろん気持ちはいつも一緒なんですけど、打ったらうれしい。また成長した姿を見せられて良かったです」と喜んだ。

○…糸原はプロ6年目で初の一塁守備を経験した。「6番三塁」で先発。1回に投ゴロ併殺崩れの間に3点目をもぎ取ると、7回は左翼線二塁打、8回は右前打をしぶとく運んで2得点した。8回表からはプロ617試合目で初の一塁守備に就き、送球を無難に捕球。矢野監督は「これからのことを考えたら、いきなりやるよりもやっておいた方がいいのかなと思って」と一塁起用を説明した。

○…近本が先制適時打を含む3安打1打点で大勝に貢献した。初回1死二塁で中前適時打を放ち、「打席に入る前に北條から『今日は1打席目からやぞ』と言われて。結果的に打ててよかった」。今季最多13得点の先陣を切ると、続く佐藤輝の三塁内野安打の間に一気に三塁まで到達した。「最初からは想像できないですけど、その時の場面で判断すること」と冷静に初回3得点の猛攻を演出。7日に連続試合安打が途切れてからの3試合で13打数5安打、1本塁打、4打点と順調なリスタートだ。

○…助っ人ケラーが圧巻の3者連続三振だ。大量リードの9回に登板。先頭中島をこの日最速の157キロで空振り三振に仕留めると、続く松原も直球で空振り三振。最後も岸田から直球で空振り三振を奪った。これで9試合連続無失点。奪三振率17.25とKマークを量産している。矢野監督も「だいぶいいボールを投げられるような状態になってきたと思います」と右腕の力投をたたえた。

▽阪神植田(8回に今季初安打&初適時打)「(直前二塁打の)近本さんがよく走ってくれたおかげでチャンスで回ってきた打席。絶対にランナーをかえしたいと思っていました。タイムリーになって、めちゃくちゃうれしいです」

▼阪神の13得点、19安打はいずれも今季最多。13得点以上は21年4月24日DeNA戦13点以来で、19安打以上は18年9月16日DeNA戦以来。巨人戦の13得点以上は、19年5月15日13点以来。巨人戦の19安打以上は、07年8月8日の22安打以来。

▼阪神が13点以上を挙げて完封勝利を飾ったのは、14年4月2日中日戦の15-0以来8年ぶり8度目。巨人戦では、82年4月29日の13-0以来、40年ぶり2度目。この試合では先発の山本和が完投。佐野、真弓、アレン、北村、掛布、そして山本和と6本塁打で巨人を粉砕した。

▼阪神が巨人戦に2試合連続で先発野手が全員安打したのは、06年8月27日、9月5日以来、16年ぶり。8月27日は野手のみで、シーツと矢野が2安打を放つなど10安打。9月5日は鳥谷が3安打、浜中と矢野が各2安打と活躍。投手の福原も含めて13安打だった。

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