ロッテのブランドン・レアード内野手(34)の目尻がやっと、少しだけ下がった。5回2死、4番井上のソロで同点に追いついた直後、続いた。井上と同じような左翼席中段への1発は、序盤の5点ビハインドをついにひっくり返す勝ち越し弾になった。

ナインやスタンドが盛り上がる1発も、本人は感情爆発とまではいかない。「この2~3週間、本当に振れてなくて、自分でもしっかりしなくちゃ、頑張らなくちゃという気持ちの中での本塁打だったので」。

不振を極め、7月はこの日の試合前まで45打数5安打で打率1割1分1厘。本塁打はおろか、打点もなし。下旬にしてようやくの7月初打点を挙げ「打席での辛抱が足りなかったと思います。外れてるところのボール球に手を出したり。タイミング的にもちょっとおかしかった部分がある」と自己分析を口にした。

47打席に立ち、四球もわずか2つ。それがこの日、4回の第2打席はファウルで粘って、落ちる変化球にバットを止めた。「今日は四球も選べたし、いい傾向だと思います」。焦らずに耐え、第3打席でカットボールを完全に捉えた。「後半戦に乗っていける本塁打だったと思います」と安どの言葉を発した。

1割9分9厘だった打率は、6月27日以来となる本塁打で2割台に戻した。ただ、このまま低迷しているわけにはいかない。井口監督はレアード、2軍調整中のマーティンとも「コンディションは全然大丈夫だと思います」と肉体面の不安はないとしている。

荻野、高部、中村奨の上位打線は比較的好調を維持している。井口監督はこの日も「4番、5番が打てば勝つってことです」と話したが、コロナ禍やコンディション不良での戦線離脱もある中で、ポイントゲッターがいかに機能するか。井口監督は助っ人勢を「優勝するために必要な戦力です」とし、完全復活を願っている。【金子真仁】

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