ソフトバンク石川柊太投手(30)が、8回無失点の好投で7月3日西武戦以来、約1カ月ぶりの今季4勝目を挙げた。「風が味方してくれた」と、常時、風速10メートルを超える強風の中で無四球の安定した投球を見せた。千賀、大関が離脱するなど苦しい先発陣を、石川が引っ張っていく。

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相手打者がふらつくほどの強風は、むしろ追い風になった。石川は「今日はどちらかというと、風が味方してくれたような気もします。打者も風を嫌がっているな、打ち損じているなという感じがあった」。レフトからホーム方向への、常時風速10メートル超の風がスタンドで跳ね返り、石川にとっては向かい風のような形。その強風が、持ち味のパワーカーブの変化量、ブレーキを増す後押しをしてくれた。

初回からポンポンと、テンポのいい投球でアウトを積み重ねた。先頭を出したのは2回と8回のみ。走者を二塁に進めたのも、二塁打を浴びた3回と8回だけだった。「ベンチで松田さんが『テンポ、テンポ』とうるさく言っていた。みんなが『テンポ、テンポ』と言うので、そのおかげでテンポよく行けました」。石川の登板試合が3時間を切ったのも、完封した7月3日西武戦以来だった。

約1カ月ぶりの白星に、率直な思いも吐露した。「ホッとしたというところはありますね。いろいろ試したりする中で結果が出ていないと、年齢的にもまだまだこれからだぜ、というほどでもない。このまま尻すぼみになっちゃうんじゃないか、引退しちゃうんじゃないかという危機感もあった」。勝っても負けても、投球フォームを修正するなど模索しながらマウンドに立つ右腕だ。自分が今、進んでいる道が正しいと実感できる安堵(あんど)の勝利になった。

先発陣はエース千賀や大関が離脱する苦しい状況。6連戦以上が続く8月に、カード頭を託されている。首位西武に2差。藤本監督は「千賀と2本柱」と表現する右腕の好投に「風をうまく利用してくれた。テンポも良かったよね。すばらしい」とほめちぎった。【山本大地】

○…今宮が後半戦初安打を放った。3回2死一塁では左中間を破る先制の適時二塁打。5回1死一塁でも一塁走者周東とのエンドランを見事に成功させ、右前打適時打とした。球宴以降は下半身コンディション不良のため、5試合を欠場。今月7日楽天戦で先発復帰していた。「休んでいる余裕はない。川瀬の活躍だったりに刺激を受けて、負けないようにやっていきたい」と、取り返していく意気込みだ。

○…三森が実戦復帰した。ウエスタン・リーグ中日戦(タマスタ筑後)に「1番二塁」で出場。初回先頭の1打席目に中前打を放ち、3打数1安打だった。7月10日の日本ハム戦(ペイペイドーム)で左手親指を骨折していた。藤本監督は「(実戦復帰が)早くなったよね。全治3カ月と聞いていたから。試合に出られるくらいに回復したというのはいいことですね」と話した。

▽ソフトバンク柳田(5回に右前適時打)「インコースの真っすぐに詰まりましたが、いいところに飛んでくれたと思います。効果的な追加点を取ることができて良かったです」

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