勝てなかった。それでもクライマックスシリーズ進出に半歩前進した。阪神が2日の巨人戦(甲子園)で逃げ切りに失敗。2点リードで9回を迎えたが、新守護神カイル・ケラー投手(29)がまさかの2失点で追いつかれた。開幕直後に連続してリリーフ失敗。その後、調子を上げてポジションをつかんだ助っ人だったが、悪夢を再現してしまった。それでもチームは必死の継投で引き分け、2位DeNAとの差を4・5ゲームに詰めた。いよいよ勝負の秋だ。引きずるわけにはいかない。

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満員の甲子園の「あとひとり!」コールが、一瞬で悲鳴に変わった。新守護神ケラーが9回2死一、二塁から先発戸郷の代打中島に初球を左前へはじき返された。同点…。17試合連続無失点中だったケラーが2点のリードを守れなかった。矢野監督は「あそこまでいったんで、勝ちたかったし、悔しい」と4連勝目前だっただけに唇をかんだ。

8回に近本の適時三塁打などでようやく2点を奪い、あとは9回をケラーが締めるだけだった。先頭中田に左安を許すと続く岡本和の強烈な三塁へのゴロを、この回から守備固めに入った山本がはじき(記録は三塁強襲安打)一、三塁に。若林の中犠で1点差とされた。中島に同点打を浴び、続く坂本は何とか中飛で抑えたが、4安打を集中された。

矢野監督は「打者がそういう対応(攻略)をしているということは、今日の角度とか質っていうのは、よくなかったのかなと受け止めている」と振り返った。この日も最速156キロは出ていたが、本来の投球ではないと分析した。

ケラーのセーブ失敗は7点差を逆転された悪夢の開幕戦、3月25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)、3月29日広島戦(マツダスタジアム)でそれぞれ9回に1点リードを守れず逆転されて負け投手になって以来3度目。ただ、来日が遅れ突貫工事で調整した当時とは違う。前カードの広島戦では2試合連続でセーブを挙げ、矢野監督も「今のところ一番うしろはケラーでいこうと」と、岩崎とのダブルストッパーではなく単独守護神として明言。残り18試合も頼りにする大事な戦力には変わりない。

広島に3連勝し、借金0で4位巨人を甲子園に迎えての3連戦。クライマックスシリーズ(CS)進出のためにも負けられない宿敵との初戦。今季8敗している苦手の延長戦に突入も、10回から岩崎、浜地、岩貞と無失点リレーで3度目の引き分けに持ち込んだ。「もちろん(負けなかったことは)あるんだけど。何も後ろを向くことはない引き分けだと思うし、前を向いて、また自分たちの野球を。今日も姿勢的にはいい、積極性のあるプレーも出ていた」と、ナインの粘りを評価し、前を見据えた。【石橋隆雄】

○…浜地が粘りの投球を見せた。同点の延長11回に登板。先頭若林に右前打を許したが、吉川を外角150キロで空振り三振。2死二塁では、小林を左飛に抑え、ピンチを脱した。「1点もやれない場面だった。まずは0点で抑えられてよかった。次回の登板は内容もよくできるように頑張ります」。7月22日DeNA戦から15試合連続無失点。防御率を0・90まで下げ、安定感は抜群だ。

▽阪神矢野監督(西勇について)「丁寧に投げてくれた。初回から飛ばしていくように見えたし、もちろんまだ行かしてあげたかったんだけど。ユウキに勝ちをつけたいっていうところで勝負にいったんだけどね」

▽阪神岩貞(延長12回に2奪三振など3者凡退)「ゼロで抑えることを心掛けました。ケラーが取られても僕らブルペン陣で、また流れを持ってくる意識で投げている」

◆セ・リーグCS争い 首位を独走するヤクルト、現在2位につけ3位阪神に4・5ゲーム差のDeNAが有力。現在阪神は4位広島と4差。仮に阪神が残り18試合を9勝9敗の五分でも、セ・リーグ順位決定の規定により4位広島が阪神を上回るには13勝5敗、5位巨人は15勝5敗が必要。阪神は有利な立場を保っている。

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