エースが帰ってきた。楽天則本昂大投手(31)が、7回4安打1失点で8勝目を挙げた。8月16日の日本ハム戦以来、約1カ月ぶりの白星。力強い投球が戻った。チームはこの日から8試合上位3チームとの対戦が続く。8カードぶりにカード初戦に勝ち、2位西武、3位オリックスとは1・5差。パ・リーグの優勝、CS争いは、さらに大混戦となった。

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ほえまくった。則本は、同点に追いついてもらった直後の4回、ギアがさらにあがった。2死走者なし、頓宮の4球目で、直球はこの日最速タイの153キロを計測。続く5球目にスライダーで空振り三振に打ち取ると、グラブを力強くたたいた。5回2死一、三塁のピンチを空振り三振で切り抜け、大きな雄たけび。7回も無失点で打ち取ると、右拳を力強く握った。「今チームが1つになって、最後まで走りきろうとなっているので、そこに自分も加わりたいなという気持ちでした」。勝利への執念が全身からあふれ出た。

悔しいシーズンだった。開幕投手を務めたが、ここまで8敗。特に7、8月は8試合で1勝6敗だった。「自分へのふがいなさとか、チームに貢献できていないという思いがあった」と打ち明ける。力強い躍動感が影を潜め、変化球主体の投球。甘く入った球を痛打され続けた。8月31日には出場選手登録を抹消。体の使い方を見直し、投球のタイミングやバランスを修正していった。

修正と気迫で勝ち取った1勝。「守備でも助けてもらっていますし、点数を取っても助けてもらっていますし。それに応えたいなという気持ちが、今日はすごく大きかったですね」と頬を緩めた。

チームの正念場で戻ってきた頼もしいエースの投球。お立ち台では「優勝したいので僕たちに力をください。よろしくお願いします!」とファンへ呼びかけた。まだまだ激しく、苦しい優勝争いは続く。今季は残り16試合。大逆転での優勝を、誰も諦めていない。【湯本勝大】

○…鈴木大が、試合を決めた。同点の5回2死満塁で、右翼へ2点適時打を放った。「楽天に来て3年目ですけど、ノリがこんなにほえているところを初めて見た。なんとか点を取ってあげたいという気持ちだった」と笑顔だった。則本の気迫に背中を押され、猛打賞。2番打者として、チームの攻撃を支えた。

▽楽天石井GM兼監督(則本の投球について)「まさにノリらしい感じは出ていたかなと思います。1回の入り方というか、投げ姿というか、そういうところはすごく。リリースポイントが安定していた」

▽楽天太田(6回2死三塁で、バントで三塁線に転がして適時内野安打)「いいところに転がってくれましたね。ノリさん(則本)にいい援護ができてよかったです」

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