この男には、やっぱりアーチが似合う。西武山川穂高内野手(30)が3年ぶり3度目となる40号の大台に乗せた。1回2死一塁。ソフトバンク石川の137キロフォークを角度よく捉えた。両手に残る久々の心地よい感触。左中間席へ40号2ランをたたき込んだ。

39号を放ったのは12日ソフトバンク戦。9試合ぶりの1発だった。「40本という数字はずっと意識していました。別に誰かに課されたということでもないのですけど」と安堵(あんど)の表情も入り交じりながら言った。3度の40発は球団最多で秋山、カブレラ、中村に並ぶ4人目となった。

有言実行のアーチでもあった。「言霊がある」という。試合前の円陣。ナインの前で宣言した。「今日、ホームラン打ちます」。その言葉を第1打席で現実にした。24日日本ハム戦では「全員安打を打ちましょう」と鼓舞し、先発全員の16安打で快勝した。これで山川が円陣で声を出すと3連勝にもなった。

「打てないのが続けば、全部受け止めないといけない」と言い、「4番の宿命」と捉える。その成績が勝敗に直結するのが4番。9月は自身の不振と重なるように、チームも首位争いから脱落した。そして、この日は先制弾が効いた。チーム全体では7安打だったが、主導権をしっかり握った。残りは3試合で3位をキープ。28日は0・5ゲーム差の4位楽天との直接対決を迎える。CS進出へ-。「明日(28日)もホームランを打ちます」。言霊を大事にする主砲はお立ち台で宣言した。【上田悠太】

▼山川が18年47本、19年43本に次いで3度目の40本塁打。シーズン40本塁打の回数は王(巨人)の13度が最多で、通算3度以上は17人目。西武で3度は85~87年秋山、01~03年カブレラ、08、09、11年中村に並ぶ最多記録だ。18、19年のパ・リーグは40本以上が山川しかおらず、今季のパ・リーグも山川1人が濃厚。リーグで1人だけ40本到達が3度は、通算13度のうち9度の王、通算5度のうち4度の野村(南海)に次いで3人目になる。

○…高橋は7回6安打1失点で自己最多となる12勝目をマークした。失点は7回のデスパイネのソロだけ。群馬・沼田市の実家である「高橋りんご園」を経由した観光ツアーの客が訪れる前で、エースの投球を見せた。「1点をやらないように丁寧に低めに投げた」と笑顔。お立ち台で「高橋りんご園で待ってます」とアピールした。

▽西武辻監督(3年ぶりの70勝到達。28日は楽天と直接対決)「負け越しは避けたな。あとは貯金だけだ。(楽天に)負けたら終わりじゃない。勝ったら(CSに)ぐっと近づく。そういう意味でもいろんなことをプラスに考えていく。恐れず、思い切りやってくれれば」

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