「令和の3冠王」にも聖域なし。侍ジャパン栗山英樹監督（61）は4日、都内で会見を開き、来年3月のWBCに向けた11月の強化試合「侍ジャパンシリーズ2022」（5日日本ハム戦と6日巨人戦は東京ドーム、9、10日オーストラリア戦は札幌ドーム）の代表メンバー28人を発表した。初陣となる陣容は過半数の15人が初選出の一方、ヤクルト村上宗隆内野手（22）が昨夏の東京五輪、今春の台湾戦（中止）に続く代表入り。定位置は「4番三塁」だが、栗山監督は野手全員に複数ポジションとバントを求める考えを示した。
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日本中のファンが令和初の3冠王誕生、そして日本選手史上最多の56号に沸いて一夜明け、壇上の栗山監督はワクワクしていた。「もちろん、3月のWBCで優勝するための逆算で考えているところもあるが、11月に外国のチームに絶対勝ちきれる一番いいチームを選んだ」と胸を張った。
ロッテ佐々木朗を皮切りに、1人1人の名前を読み上げた。22番目は「村上宗隆」。指揮官は「もっともっと天井が上にある。想像していないことをしてくれると僕は信じている」と断言した。普通にいけば「4番三塁」で間違いない。だが、世界一奪回という絶対目標のためには、固定観念を捨てる。「代表に来た選手全員、どのポジションもやってもらわなければ困るということは伝えます。誰でもバントをしてもらわないといけないとお願いする。チームが勝つことが大前提」と力説した。
村上も例外ではない。「絶対に動かしてはいけないところは最終的に出てくる」。本戦では4番にドッシリ座らせ、三塁を託す可能性は高いとしても「一番勝ちやすい形を、まだイメージできていない」とも言った。ケガなどもあれば、守備位置がかぶる選手が同時に好調になることもある。「この4試合に関しては、いろいろなことを考えています」と、引き出しを増やす貴重な機会とする。
村上は「皆様の期待に応えるパワーあふれるプレーで頑張りたいと思います」と意気込んだ。選出の28人には本職の一塁手はいない。村上も昨季まで兼任していた一塁での出場もあり得るし、当然バントもある。
主砲のバントと言えば、94年の「10・8決戦」。巨人長嶋監督は松井秀喜に犠打を命じ、決勝点につなげた。栗山監督は代表監督就任後、ミスターにも会い、勝負哲学を吸収した。全ては3月の本戦で勝つため。今回は不参加のメジャーリーガーが加わり、大谷＆村上の夢のクリーンアップで世界に挑む－。そんなワクワクを抱かせる秋とする。【古川真弥】
○…リーグ連覇のヤクルトから12球団最多となる5人が選出された。東京五輪でも活躍した山田、村上、代表歴のある中村に加え、高橋、塩見が初選出。高橋は「最大限の準備と集中力で代表として恥ずかしくないプレーで頑張りたいと思います」。塩見は「自分の持ち味を全て出し切るつもりで頑張ります」と意気込んだ。
○…メンバー28人を代表し、巨人戸郷が会見に登場した。初選出に「野球を始めてから侍のユニホームを着るのが1つの目標だった。すごく光栄」と喜んだ。4年目で初タイトルの最多奪三振。栗山監督から「いっぱい三振を取ってくれる。途中から（リリーフ）でも、お願いしていいですか」と聞かれると、「CS、日本シリーズは中をやっているので、どこでも対応できます」と頼もしく答えた。
○…栗山ジャパン5人目のコーチとして、巨人村田善則ブルペンコーチ（48）がバッテリーコーチとして加わる。前回WBCなど、代表コーチを歴任。栗山監督は「投手陣を機能させるのは絶対条件。スコアラー的なところのお手伝いもやってもらいながら」と豊富な経験への期待をにじませた。また、昨季まで日本ハムでプレーした鶴岡慎也氏（41）がスタッフに入った。栗山監督は「ブルペンで捕ってもらう」。日本ハム、ソフトバンクでリーグ優勝7回、日本一4回。コーチとは異なる立場で、選手をサポートしていく。
○…日本ハム近藤も昨夏の東京五輪に続いて侍ジャパンに選出された。「栗山監督率いる日本代表に選出されたことを大変光栄に思います。札幌ドームでの試合もあるので、そこでプレーできる喜びもあります。自分の役割をしっかりと果たし、チームに貢献できるよう全力で頑張ります」とコメントした。11月9、10日のオーストラリア戦は今季限りで本拠地の役目を終えた札幌ドームが舞台。慣れ親しむ同球場での“ラストプレー”も楽しみにした。
▽ソフトバンク甲斐 日の丸を背負う責任感を持ってプレーしたいと思います。自分の役割を全うできるように頑張ります。
▽ソフトバンク周東 選んでいただいたことに感謝しています。自分のパフォーマンスを発揮できるようしっかり準備して臨みたいです。
▽西武森 光栄です。うれしく思います。チームの勝利に貢献できるよう打撃、守備とも全力でプレーして、自分の役割を全うできればと思います。
▽ヤクルト山田 しっかり準備をして最大限のパフォーマンスを出したいと思います。
▽ヤクルト中村 栗山監督の目指す野球をしっかりと理解し、日本代表として最高のパフォーマンスを出したいと思います。
▽DeNA今永 大事な試合で結果を出すことを求められていると思うので、どんな場面、状況でも自分のやるべきことを理解して、試合に臨みたいです。
▽巨人岡本 侍ジャパンに選んでいただき大変光栄です。自分の力を出せるように精いっぱい頑張ります。
