主砲の1発で、ソフトバンクがCSファイナルステージ進出へ王手をかけた。

1点を先制した直後の3回に、柳田悠岐外野手(33)が右中間に中押しの3ランをたたき込んだ。9日が34歳の誕生日。自ら前祝いのアーチを描き、西武に競り勝った。ポストシーズンでは通算10本塁打目で、柳田が1発を放てば10連勝。チームはポストシーズンの連勝記録を17とし、このまま一気に突っ走る。

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下克上日本一へ、第1歩を踏み出した。勝利を手繰り寄せたのは、主砲柳田の一振りだった。1点を先制し、なお2死二、三塁の3回。カウント0-2と追い込まれてからの西武高橋の内角膝元へのスライダーをすくい上げた。右中間ホームランテラス席への3ラン。「芯付近に当たってくれましたし、角度がついた。なんとか行ってくれと思っていました」。リードを4点に広げ、完全に主導権を握った。

レギュラーシーズンは2試合連発で締めた。そして、最終戦から中5日を空けての“3戦連発”。9日は34歳の誕生日で、自ら前祝いのアーチを描き「変わらず、いい1年にしたいですね」とご機嫌だった。9月30日楽天戦の守備で痛めた首は、いまだ万全ではない。打線の中軸を担い、精神的な負担も大きいが、満身創痍(そうい)で戦うキャプテンは「3打点なので。しっかり仕事はできたかな」。分厚い胸板を張り、弱音を吐くことは一切ない。

柳田がポストシーズン(PS)で本塁打を放った10試合は負けなし。まさに「不敗神話」で、チームも19年のCSファーストS第2戦(楽天戦)からPS17連勝とした。短期決戦で無類の強さを誇るが、就任1年目の藤本監督にとっては、CS初勝利。「打つ方のキーマンは柳田と言っていたので、あそこでしっかり3ランを打ってくれたのが大きかったですね」と、BIGFACEを縦に振った。

リーグ王者オリックスが待ち受けるファイナルS進出に王手をかけた。シーズンでは、史上初めて首位と同率でのV逸を経験。最終戦で優勝を持って行かれたオリックスへのリベンジの思いは強い。柳田は18年のCSでMVPを獲得するなど、リーグ2位からの日本一も知っている。「やれることを、必死にやるだけです」。言葉はシンプルだが、語気は強い。鷹のキャプテンは頼もしい。【只松憲】

○…周東が打線の火付け役になった。3回1死で、右翼線へチーム初安打となる二塁打。三森の適時打で先制のホームを踏んだ。6回にはダメ押しの右前適時打を放ち「とにかく自分を信じて打席に入りました。しっかりと自分のスイングで捉えることができました」。シーズン最後の3戦で無安打と不調気味だったが、練習期間でしっかり修正した。

○…リードオフマン三森のバットが先制点をたたき出した。3回1死一、二塁。高橋の直球を左中間にはじき返す先制適時二塁打を放った。「とにかく積極的にスイングを仕掛けることだけを考えました。いいタイミングでいいスイングができたと思います」。1安打に終わったものの、先行逃げ切りの流れを呼び込む一打に笑顔だった。

○…モイネロがポストシーズン初セーブを挙げた。2点リードの9回に登板。2死から連打で得点圏に走者を背負ったが、最後は代打オグレディを空振り三振に斬った。「チームが勝つことができて良かったです。まだ試合はあるので頑張ります」。昨年までは主にセットアッパー。今季は守護神として、チームを頂点に導く。

○…東浜でファイナルS進出を決める。9日の西武戦に先発。今季は5月11日にノーヒットノーランを浴びせるなど7戦3勝で、対戦防御率も2・20とお得意さま。「7試合もしていれば相手打者は軌道とかも頭に入っていると思う。それを生かす投球ができたら。相手どうのこうのより、どっしりと構えて自分の投球をするだけ」と意気込んだ。

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