ロッテは3年ぶりにCS進出を逃し、吉井理人新監督(57)の下、来季の巻き返しを図る。昨秋ドラフト3位で入団した広畑敦也投手(25=三菱自動車倉敷オーシャンズ)は今季、リリーフで30試合に登板。宮崎のフェニックスリーグでは先発適性も試されている。社会人野球出身で発信力も強いルーキー右腕は、プロ野球選手としての1年目に何を感じたか。日刊スポーツのオンラインインタビューで思いを話した。2回に分けてお届けする。【金子真仁】

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広畑は、吉井新監督が見守るフェニックスリーグ・オリックス戦に先発登板し、初球から自己最速に近い150キロを投げ込むような投手だ。しゃべりも抜群の立ち上がり。最初に「思い描いていたプロ野球との違いは?」と問うと、いきなりエンジン全開だ。

「そこに関しては難しく考えていないです。簡単に言うと『甘い球は打たれるな』というのが一番の印象ですね。アマチュア時代はコースを狙ったりしなくても、そこまでコントロールを細かく気にしなくても、自分の力で押し込んでいく投球でもある程度抑えられたのは多かったので。プロ野球に入ってからはコースに投げないと、コースに投げても打たれるんですけど、コースに向かってしっかり強い球を投げなきゃいけないとやってて一番思うのはそこですかね」

今季は36回2/3を投げ、防御率4・91。被本塁打は5本ながら、チームにとってダメージの大きな局面での1発が多かったことも確かだ。即戦力リリーフとして開幕1軍に入るも4月下旬に失点がかさみ、2軍再調整へ。ただ夏場に1軍再昇格後は安定感が増した。このインタビューを行ったのは9月20日のこと。前日19日の日本ハム戦(札幌ドーム)では4回無失点のロングリリーフに成功した。

「特にここ1カ月、自分の状態がすごくいいというか、納得いってる状態なので。フィジカル、メンタル、テクニカルが自分の一番いい状態でマッチしているのが投球につながっているのかなと。昨日に関しては全球種しっかり使って、自分の理想の投球をできたんじゃないかなと思います」

カットボールやカーブを交え、ストライク先行で強気に押すスタイル。2軍で何を変えてきたのか。

「細かい部分がすごく多いんですけど…過去やって来た動作ですとか、コンディショニングの部分で動作をもう一度見つめ直して、しっかり回数重ねてトレーニングする時間を2軍ではもらえたので。特にフォームを変えたとかはなくて、自分の今までやってきたことをゆっくりじっくり、2カ月で積み重ねて。丁寧にこつこつは地道で分かりにくいし、見つめ直したり磨いたりってすごく抽象的な言葉ばかりになっちゃうんですけど、そういったところが一番自分には合っているというか。160キロじゃなくても、145キロでも打たれないまっすぐを大学、社会人とずっと求めてきたので。それをもう1回できたのが一番結果につながっている部分と思います」

見つめ直し、作り直す時間。やはり、それを1軍でやることは難しいことなのだろうか。

「1軍ではキャッチボールやブルペンで投げる時間は多くなるんですけど、それは試合に入るための準備になっちゃうので。自分の投球より試合で相手を抑えることだけに集中しなきゃいけないのが1軍だと思うので。練習の時間でもやれることはやってるんですけど、もっともっと。今は1軍でもそういう時間を自分の中で作って。やる時間が増えてきたというか、慣れてきて、こういう流れの中でこれができるなというのが分かってきて、今になって慣れてきたというか」

社会人野球時代とは決定的に違う、この1年間。終えてみて、思う。

「やっぱり決定的に違うのは、毎日結果を出さなきゃいけないというところですね。毎日、勝敗ついちゃうので」

野球に専念し、野球で結果を出す今。1年前までは、必ずしもそういう生活ではなかった。全国的に知られる岡山・水島コンビナートの一角での日々。昼間も全力で突っ走っていた。(後編へつづく)