守護神・朗希もある。11月に強化試合「侍ジャパンシリーズ2022」(5日日本ハム戦、6日巨人戦、9、10日オーストラリア戦)を控える侍ジャパン栗山英樹監督(61)が、インタビューで4試合に臨む構想を語った。球数制限のある来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、継投が不可欠。今回の4試合で投手のリリーフ適性を確認する。本戦では、ロッテ佐々木朗希投手(20)が抑えとなる可能性にも触れた。【取材・構成=古川真弥】

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栗山監督にとって、トップチームを率いて戦うのは初めて。「できる全ての準備をして3月に向かわなきゃいけない。高ぶりよりも、責任の方が重い」と初陣の心境を明かした。WBCは球数制限がある。「2人目で投げる投手と、後ろの方で投げる投手はテーマ」と継投がカギと考える。

まずは、終盤の継投について。「絶対的な3人がいて、7回、8回、9回。3人がしっかりしていれば(順番を)変える必要はない」。ただ、これは、あくまで理想。「後ろ(抑え)が決まらなければ、3、4人で3イニングを回してもいい」と、臨機応変な対応もあり得るとした。

それでも「後ろだけは決めておきたい考えはある」と本音も明かす。所属チームで抑えは巨人大勢だけだ。「ボールが本当に強い。セ・リーグの対戦した打者や打撃コーチに確認させてもらった」と確信を得て招集した。ただし、抑え確定ではないという。

栗山監督 大勢に関しては、どこがベストポジションか探ります。例えば(カージナルスでともに今季30発以上の)アレナド、ゴールドシュミットといった右バッターだけ大勢でというのも当然、考えられる。

最速159キロ右腕を、ここぞの切り札にする案。さらに普段は先発でも、抑えの資質を持つ投手は少なくない。09年の第2回大会では、決勝ラウンドでダルビッシュ(日本ハム)が抑えに回った。今回で言えば、日本ハム伊藤や中日高橋も可能性があるのでは? 「そうだね」とうなずき、自ら他の候補を列挙した。

栗山監督 (巨人)戸郷。1イニングなら、どんどん速くなりそう。(ヤクルト)高橋。落ちる球の精度が上がれば、あのスピードで押し込めるかも。(オリックス)宮城。あのタイプが短いイニングを投げたら、もっと光る気がする。

さらに、もう1人を口にした。佐々木朗希だ。「ロッテの使い方を見ると、丁寧に使ってあげないといけない。今回は、あまり変な形で使わない」と11月は先発か、それに準じて用いる。ただ、来年3月は-。

栗山監督 本当に状態が良ければ、あの真っすぐとフォークで抑えもできるでしょう。夢があるよね。力がある4人の先発がそろうなら、佐々木朗希の抑えもいいよね。

大谷(エンゼルス)からバトンを受け、最後は佐々木朗が締めて世界一。そんな夢のリレーが実現するかも知れない。

次に、2番手について。

栗山監督 ダブル先発の形は当然、必要。先発で行ける投手が、あえて2番手で行くと、どう見えるのか。2番目に投げる人たちの状態や結果が、ものすごく大きなものになる。

投手13人のうち、9人が所属チームでは先発を務める。計4試合なので、5人は先発以外で投げる。流れを左右する第2先発の適性確認は欠かせない。

今回は、オリックス山本、吉田正、広島菊池涼ら本戦で招集が濃厚な選手は呼んでいない。球団側がWBC参加を容認している大谷、カブス鈴木ら、メジャー選手も不参加だ。若手が多く、初代表が過半数の15人。4試合はサバイバルの面がある。だからこそ、期待を込めて力説した。

栗山監督 今回選んだ世代の人たちが、これからプロ野球を背負って行って前に進んでくれる。「日本の野球を頼むよ」とメッセージを送ったつもりです。

まずは11月5日、東京ドーム。日の丸を胸に躍動する28人を送り出す。

 

○…ヤクルト村上の打順は4番で決まりなのか。栗山監督は「好きに書いて下さい。例えば2番。送らないで攻撃的な形を組むとき、なぜ(ヤンキース)ジャッジや(エンゼルス)トラウトがあそこにいるのか。それとも、いろんなメッセージを含めて、やっぱり4番と考えるのか」と結論は示さなかったが、4番以外も否定しなかった。

○…栗山監督にメンバー28人に贈る言葉をリクエストした。「小善は大悪に似たり。大善は非情に似たり」。京セラの創業者である故・稲盛和夫氏が好んだ言葉を「かわいそうだなと思って怒らなかったり、代えなかったりすることが、彼の人生にマイナスになる。一番大事なのは、日本代表が勝つために最善を尽くすこと。それが選手、チーム、日本のためになる」と説明した。たとえ「非情」と思われようと、監督の務めを貫く決意表明でもある。

 

◆WBC投手の球数制限 前回17年の第4回大会では、1次ラウンド65球、2次ラウンド80球、準決勝と決勝は95球まで。打席中に制限に達した場合、その打席完了まで投球できる。50球以上投げた場合は中4日、30球以上または2試合連続で投げた場合は中1日空ける。