阪神は5日、青柳晃洋投手(28)の背番号を23年から「17」に変更すると発表した。青柳は15年ドラフト5位で阪神入団後、7年間背番号50でプレー。21年には最多勝、最高勝率に輝き、22年は最多勝、最高勝率、最優秀防御率を獲得した。虎のエースに成り上がった右腕がともに歩んだ番号に別れを告げ、岡田阪神の大黒柱として新たなスタートを切る。

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原点回帰の17番だ。青柳にとってその番号は「50か17の2択」と言わせるほど、魅力的なものだった。「僕が野球を始めた小学校5年生の時に初めてつけた番号。大学でも4年間つけていた番号」。アマチュア野球人生を振り返ると、縁深い数字だった。

「僕が阪神にいる間につけるとしたら今のタイミングしかないなと思った。ずっと17番つけたいなと思っていたので、つけさせてもらうことにした」。今季まで17番を背負っていた岩貞が、今オフ14番に変更となる。球団からの打診もあり、思い入れの深い番号と再び結ばれた。

当然50番との別れに、思うものもある。入団1年目から背負い、苦楽をともにした番号で「50番にもだいぶ愛着がある」と惜しむ。ローテーション定着は4年目の19年と遅咲きだった。だが地道な練習が身を結び、今季は最多勝、最高勝率、最優秀防御率の「投手3冠」にまで上り詰めた。疑いようのない、虎のエース。50番が出世番号になった。「次(50番を)つける人が僕みたいに苦戦せず、しっかり活躍してくれたらうれしいかな」。後継者には自身以上のスピード出世を期待する。

背番号変更を前に、右腕は熟考した。相談相手は旧背番号17の岩貞だ。「悩んでいる」と胸中を吐露すると岩貞は即答。「いや、つけろや」。先輩の声も受け、決断し「サダさん(岩貞)に最初に報告させていただいた」と話す。

2年連続13勝でタイトルを獲得。新背番号と重なる「17勝」への期待も膨らむ。「そんな簡単に言わないでください」と笑って答えたが、「もちろん目標として、勝つに越したことはない」と、来季も勝ちを積み重ねていく。

「僕みたいなドラフト下位で入った選手がつける可能性も低い番号。提案してくれた球団にも感謝ですし、サダさんがずっと守ってきた番号には重みがある。恥じないように頑張りたい」。新番号を背負い、青柳の新たな1ページが始まる。【前山慎治】

 

◆背番号17の名投手 右の本格派に多く使われ、エースナンバーとして扱う球団も多い。阪急(現オリックス)一筋の山田久志は、3年目の71年に25番から変更。通算284勝はプロ野球7位で、下手投げでは最多だ。巨人の槙原寛己は54番から87年に17番とし、2111奪三振は球団最多だ。現役では、今季完全試合を達成したロッテの佐々木朗希も17番。メジャーでは、二刀流で確固たる地位を築いたエンゼルスの大谷翔平もこの番号である。