侍ジャパンの巨人大勢投手(23)が「膝カックン投法」でWBCに挑む。宮崎キャンプで12日、今季初実戦となる紅白戦に登板した。軸足の右足をくの字に折る新投球フォームで、早くも155キロをマークするなど1回1安打無失点に抑え、好感触を得た。変化を恐れず進化の過程にいる昨季新人王は、上昇カーブを描いた状態で、17日から始まる侍ジャパン直前合宿に合流する。

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大勢の右膝がカクンと曲がる。軸足にためたパワーをグッと押し上げて、指先へ力を込めた。新フォーム「膝カックン投法」。6回1死、加藤への初球がこの日最速の155キロをマークした。直球5球は全て150キロ台で平均153キロと、慣れないWBC球でも2月にこの仕上がり。「オフシーズンにやってきたことが身になっている」と、午前5時から始める早朝トレの成果にうなずいた。

常に進化を求めている。オフに膝を曲げる投げ方を取り入れた。分かっていても打てない、下からあおり上げる剛速球を追求した結果、行き着いた答えだった。WBCでもシーズン中も新投法を貫く。「変えようと思ってもなかなか変われない。大げさにやる方が変わりやすい」と、その思いがくの字に曲がる膝の形につながった。

進化するために、変化を恐れない。1年目の昨季から、毎試合フォームを微妙に変えていた。初の甲子園での登板となった4月17日阪神戦、突如直球の握りを変えた。肘への負担を軽減させるためと、前夜に教わったばかりの親指を曲げた直球の握りをぶっつけ本番で投げた。「いつももっと成長したい、もっと良い球を投げたい、もっとファンを魅了できる投手になりたいと思っている。だから変化し続けないといけない」と常に成長に飢えている。

だからこそ満足なんてできない。この日最速155キロでバットを差し込むことができず、中前に運ばれた。大河のごとくゆったりした腕の振りから、剛速球で差し込むこと。ただ、まだその領域にはたどり着いていない。決め球のフォークにも「(昨秋の)強化試合前よりかは自分の理想というか、思い描いているような曲がりはしてくれているんじゃないかと思います」。17日には侍ジャパン直前キャンプに合流する。新人王右腕は、まだまだ進化の途上にある。【小早川宗一郎】

▽巨人井上(今季の実戦初マウンドで2回1安打1失点)「直球が抜けてばらついていた。フォームを安定させることと、変化球の決め球を作っていきたい」

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