ヤクルトのドラフト1位右腕、吉村貢司郎投手(25=東芝)が初実戦で結果を出した。阪神とのオープン戦(浦添)で3回から2番手として登板。2回25球を投げ、無安打2奪三振と好投した。トレードマークの「振り子投法」をプロのマウンドで初披露し、この日の最速は146キロ。目標を「新人王」と公言するルーキーが、開幕ローテ入りへ猛アピールした。

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振り子が生み出す滑らかな投球フォームだが、吉村の右手からボールが放たれた瞬間、キレのある直球がうなりを上げた。「力感なく強い球を投げる」ことが目的の投法から繰り出された記念すべき第1投は、阪神近本が見逃す145キロのストライク。カウント2-2から最後は135キロカットボールで空振り三振に斬って取った。

振り逃げになったものの、続く植田も135キロフォークで2者連続三振。走者が出ても動じず、今度は鋭いクイックで植田の盗塁死をアシストした。4回1死一塁では糸原の投手強襲の当たりを好捕し、併殺を完成させる好フィールディング。「絶対に走者は出る。そこからの投球が今後も大事。その点では良かった」と総合力をアピールした。

プロ初実戦に「ストレートも自分の思っていた通り力強い球を投げられた」と納得の表情。近本や二飛に打ち取った佐藤輝ら実力者との対戦に「テレビで見てきた人たち。雰囲気がすごいなと思いながら投げてました」と話す口調も落ち着き払い、大物ぶりを醸し出した。

高津監督は「1年生とは思えない堂々としたストライク先行」と高評価。クイックに関しては「抜群だよね。ランナーを気にすることなく打者に集中できるクイックを持っていることは1つの武器」と絶賛した。

開幕ローテへ確実に前進した初陣を吉村は「80点」と自己評価。ギャップで打者を惑わす「振り子投法」が、燕投手陣に新たな武器をもたらした。【三須一紀】

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