首位陥落危機も、若鷹の奮闘が希望の光だ! ソフトバンクが初のカード負け越しで2位西武にゲーム差なしと接近された。痛い連敗の中で、今季初昇格初スタメンの増田珠内野手(23)が、1号ソロを含む2安打2打点と活躍。WBC侍ジャパンで大流行した「ペッパーミルパフォーマンス」ならぬ「大根おろしパフォ」を披露。高卒6年目の若鷹がチームに活気を与えた。

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首位陥落危機に直面したが、高卒6年目の元気印が明日への希望だ。1点を追う4回2死一塁。増田が左中間に一時同点となる適時二塁打を放った。ベース上で、右手拳を握り、小指側を左手のひらでこすった。「浸透させられるように」と話すこの動きは「大根おろしパフォーマンス」。WBC侍ジャパンで大流行した「ペッパーミルパフォーマンス」を和風にまねたものだ。

この日、1軍に初昇格し「8番右翼」でフル出場。1-3の9回には、西武増田から左翼へ今季1号ソロを放った。「しっかり自分が打つべきボールを打ちにいく」と、甘く入った内角直球を強振。憧れの巨人松田の「熱男パフォーマンス」まで飛び出した。2安打2打点1四球。2位西武との直接対決で23歳が存在感を見せた。

今季はオープン戦の最終戦で2軍降格。開幕直前で1軍入りを逃した。「結果を先に求めず、できることをやると意識していました」。筑後で必死にバットを振り、打率3割4分をマーク。巡ってきた1軍昇格で猛アピールした。抜てきした藤本監督も「これを続けてくれたらレギュラーになっていく」とうなずいた。

チームは敗れ、開幕6カード目で初の負け越し。勝率差で首位に立つが、2位西武に0ゲーム差に迫られた。増田は「自分の一番の取りえは元気。そこだけはどんな結果になっても貫けるような強い精神を…」と言う。敵地の苦しい戦いで、高卒6年目のバットがチームを鼓舞した。【只松憲】

◆増田珠(ますだ・しゅう)1999年(平11)5月21日生まれ、長崎市出身。横浜では2年夏、3年夏に甲子園出場。高校通算33本塁打。17年ドラフト3位でソフトバンク入団。19年9月28日オリックス戦でプロ初出場。同年オフに右手首を手術し、20年8月に実戦復帰。22年7月17日ロッテ戦でプロ初本塁打を記録した。179センチ、84キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸860万円。

■中継ぎ陣奮闘

中継ぎ陣が奮闘した。1-3の5回2死一、二塁でマウンドに上がった松本裕が見事な火消し。4番中村を内角スライダーで遊飛に打ち取った。6回は大津、7回は津森、8回にはモイネロとつなぎ、無失点リレー。逆転のムードも高まったが、あと1歩及ばなかった。藤本監督は「2点差ならチャンスあると思って、勝ちゲームの投手をつぎ込んだ。あと1点足りなかったね」と悔しがった。

■不調正木は2軍

2年目の正木が2軍に降格した。開幕戦は「5番中堅」でスタメン出場するなど右の大砲候補として期待されたが、全18打席で安打なし。藤本監督は「状態的にしんどいので、もう1回、2軍でリフレッシュしてこいと。頑張ってもらうように伝えました」と話した。代わって増田が1軍に昇格した。