<阪神8-7中日>◇3日◇甲子園

子どもたち、野球って最高だろ! 阪神木浪聖也内野手(28)が、プロ初のサヨナラ打を放ち、連敗を2で止めるヒーローになった。同点に追いついた9回、なお無死満塁で中日守護神マルティネスから右前へ。0-6の劣勢をはね返して最後の最後に逆転し、今季3度目のサヨナラ勝ちと貯金3に貢献した。ゴールデンウイーク恒例の「こどもまつり」として開催された一戦で、不屈の男がネバーギブアップを体現した。

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木浪は昨季、自己ワースト41試合の出場にとどまった。開幕スタメンも初めて逃した。久保田運動具店のブランド「スラッガー」のバットを何度、微調整したことか。長さ、重さ、感触…。何がベストか悩んでいた。自身にしか分からない感覚があるからこそ、いろいろと試した。

「これ、お願いできますか?」。他球団の選手のバットを参考に、自身の相棒を5ミリ削ったのは昨秋のこと。メーカーの担当者もすぐさま対応し、長さ85・5センチあったバットが85センチになった。振り抜きやすいよう、ミリ単位で悩み抜いた1本が劇打を生み出した。

選手に密着し、球場ではこまめにコミュニケーションを取る担当者は「昨年は苦しんでいたと思うけど、表情には一切出さなかったです」と振り返る。お立ち台で「最高でーす!」と明るく叫んだヒーローは、クラブハウス手前の囲み取材で「プレッシャーはなかったです」と言った。迷いの消えた男は強い。【阪神担当 中野椋】

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