WBCで負傷した右手小指の骨折が完治し、1軍復帰した西武源田壮亮内野手(30)が、“開幕戦”で今季初安打初打点を記録した。4点を追う6回2死二塁、第3打席で左前適時打を放った。5回の守備では適時失策を犯したが、遊撃の広い守備範囲は健在。3連敗の5位と苦しむチームに、頼れるキャプテンが帰ってきた。

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1軍舞台の喜びと敗戦の悔しさを、同時に味わう夜になった。源田は6回2死二塁、オリックス山岡の内角スライダーを逆方向に流した。1打席目には空振り三振した球。食らい付き、二走・長谷川をかえした。「1本出たことはすごくほっとしました。ライオンズファンの皆さんの前でプレーできてうれしかったです」。今季初安打が初適時打に。一塁上で手をたたき、右拳を突き上げた。

残り100試合のタイミング。チームには44試合目でも、源田にとっては「開幕戦」だ。3月10日のWBC韓国戦で右手小指を骨折した。日本の世界一に貢献したが、名誉の負傷の代償は2カ月間の離脱だった。こんなに長く野球ができなかったことは今までなかった。「もどかしさもありました。1軍の試合を見ながら早く出たいなと思っていました」。

主将が1軍にいない。一緒にプレーできなくても、不在の間に遊撃を守った児玉、滝沢ら若手には寮で声をかけた。「頑張れ~、って思いながら。負けてられないなと」。侍ジャパンの栗山英樹監督からはこの日の練習前、連絡を受けた。「迷惑を掛けしまってごめん。今日からまた野球界のためによろしくお願いします」。温かい言葉に背を押された。

今季ベルーナドームは人工芝を7年ぶりに張り替えた。ここでの経験は2軍で1試合だけ。「去年より打球の勢いが弱くなるなという印象」と言ったグラウンドで、5回1死三塁の場面では打球を後逸した。難しい打球も「自分のミスです。タイムリーエラーはやっぱり悔しいですね」。

失った1点を自分のバットで取り返したが、チームの得点はこの1点のみ。3連敗で5位と苦しんでいる。あらためて、WBCに強行出場したことに後悔はない。「一切ないです。でもライオンズファンの方にはたくさん心配もかけた。ここから取り返せるようにやるだけです」。たまらん主将の帰還はきっと、苦しい時期を乗り越えるきっかけになる。【鎌田良美】

◆源田の右手小指骨折 3月10日のWBC1次ラウンド韓国戦、二塁けん制への帰塁でヘッドスライディングした際に相手野手と交錯する形で負傷。患部をテーピングで固定し、同16日の準々決勝イタリア戦でスタメン復帰。侍ジャパンの世界一に貢献した。3月末に西武に合流。リハビリを進め、5月19日のイースタン・リーグ楽天戦で実戦復帰。「9番遊撃」で先発し、2打数2安打を記録した。24日の同DeNA戦まで、2軍で5試合に出場した。

▽西武松井監督(源田の復帰に)「ベンチは最後の最後までみんな何とかしたい、勝ちたい、そういう雰囲気はずっとありました。ゲンが元気な姿で戻ってきてくれたことがチームにとっても一番大きい」