ミキハウスは投打の主役が活躍して快勝し、第1代表決定戦に進んだ。

先発した3年目の岩田諒大(りょうだい)投手(25=九州国際大)が、社会人初の完投を完封勝利で飾った。初回は「力みでストライクが入らずに、自分自身パニックになった」と先頭打者に四球を与え、二盗も許したが、後続を3人で断った。5回までは先頭を3度、四球で出しながら無安打無得点。粘り強く投げ、「9回まで投げたのは初めて。(今後も)完投したい」と胸を張った。

昨年も第1代表トーナメントの準決勝で日本製鉄広畑と対戦。先発は岩田だった。チームは勝ったものの「あの時は1回1/3、2失点で(降板)」と苦い思い出しかない。「去年は何も力になっていない」と反省し、今季に向けてカーブの質向上に着手。配球面でも変化球の組み立てを工夫してきた。1年前と同じ準決勝。岩田は「投げ切ってリベンジする気持ちがあった」と言い、3奪三振ながら丁寧に打たせて取った。119球、2時間39分で終え、「自信はついてきた」と手応えをつかんだ。

陣田匡人(まさと)監督(44)はそんな右腕の成長ぶりを認めていた。「スピードある投手ではないので、コースよりスローカーブやチェンジアップとか前後で勝負する投手」。続けて、岩田が持ち味を発揮できた要因の1つに自主的なフィールディング練習を挙げた。「投げる以外の意識の高さが、投球での良さにつながっている」とし、「計算していたより出来すぎた」と完封をねぎらった。

岩田は初回と7回に3点ずつ援護してくれた味方について「(次戦も)野手がいっぱい打ってくれる」と猛打のチームカラーをアピール。その攻撃を引っ張ったのが4番の田中秀政内野手(26=天理大)だった。1年前の日本製鉄広畑戦で「4の4打ってサヨナラスクイズも打った」と勝てるイメージがあったが、前夜は「打てへんかったらどうしよ」と眠れないまま試合を迎えた。ただ始まってみれば初回に先制適時打、7回にも追撃の適時打とマルチ安打で貢献。どしっとした体格と表情から「秀政おじさん」の愛称で親しまれる主砲はムードメーカーで、試合後の取材では報道陣に交ざって岩田の緊張をほぐしていた。

ミキハウスは、3年連続の都市対抗出場を懸けて31日の第1代表決定戦ではNTT西日本と対戦する。【中島麗】