令和の怪物撃ちに最高の景気づけだ! 阪神が今季5度目のサヨナラ勝ちで連敗を2で止めた。「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦の延長11回。1死満塁で途中出場の小幡竜平内野手(22)がプロ初の劇打を放ち、4時間19分の激闘に終止符を打った。12球団で唯一3連敗がなく、7度目の危機も回避。守護神の湯浅京己投手(23)が9回に3失点して延長にもつれ込むいやな流れを若虎が断ち、4日先発の佐々木朗撃ちに弾みをつけた。

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小幡の打球が中前に抜けた瞬間、阪神ベンチの歓喜が爆発した。延長11回1死満塁。6番手広畑の真っすぐを完璧に捉えた。「たぶん(サヨナラ打は)人生初。本当に自分が決めてやるとしか思ってなかった。打った瞬間、抜けたなと思った」。4時間19分の熱戦にケリをつけた途中出場の若虎は興奮を隠せなかった。今季7度目の3連敗のピンチも白星で阻止。満面の笑みで出迎えた岡田監督は「今日の勝ちは大きい! 大きいよ」と大喜びだ。

指揮官は「1時間前に終わっとるはずやのに。いろんなことがあったよな9回はな。向こうもパ1位やから簡単には終わらないと思っていたけど」と苦笑い。守護神湯浅が9回、まさかの3点失点で追いつかれて延長に突入。9回先頭山口の遊撃へのゴロを木浪が失策したことから始まった同点劇に「(今まで)あんまり大事なところで出んかったからな。エラーからの3点やったんで」と、守りのミスから流れを悪くしたことを嘆いた。

勝ちパターンを投入した後の延長戦では及川、浜地が無失点で踏ん張った。11回の攻撃では無死一塁から代打梅野がバントを2度失敗。その後、エンドランで中前安打し、一、三塁とチャンスを広げたが、指揮官は「交流戦に入ってバントが成功しない。(梅野の安打は)ラッキー。はっきり言って」と、きっちりとした野球ができていないと苦言を呈した。そんな窮地で途中出場の小幡が試合を決め、チームを救った。小幡は「うれしいしか出てこない。自分が決めてやるとしか思っていなかった」と胸を張った。

「最後にみんなの力で勝ったんでね。今日負けてたらズルズルいく負けやったろうな」。9連勝後の反動を恐れていたが、連敗を2で止め総力戦で勝ちきった。9連戦の初戦が長時間試合となり「先、長いのに」とため息をついた。4日の2戦目はロッテは佐々木朗が先発してくる。「いや、まあ普通に。あんまり意識せずに」とかわしたが、チケットは完売。満員の甲子園で日本を代表する剛腕を打ち崩す。【石橋隆雄】