投げ切ったけど…。阪神村上頌樹投手(24)が自身プロ初の完投負けで2敗目を喫した。8回4失点。規定投球回に再び到達し、防御率1・83でリーグトップに立ったが、プロ初の楽天戦は悔しさで胸があふれた。「打たれた球は全部甘いんで、そこだと思います」。

大山の先制適時打で1点リードをもらったが、2回に太田に逆転の2点打を浴びた。反省したのは、その後だ。4回に再び太田に追加点の適時二塁打を浴び、8回には辰己にソロを許した。「3、4点目が無駄。粘れなかったのが、こういう結果になった」。6奪三振の力投も7安打を浴び、自身4連勝も逃した。

援護にも恵まれなかったが先発の役割は十分果たした。前夜は延長12回の末、引き分け。7人の救援陣をつぎ込んだだけに、この完投が持つ意味は決して小さくない。「後ろはいい投手がいる。何も考えなくて、自分のピッチングをしたいと思っていた」。2試合連続で8イニングを消化。開幕時はロングリリーフとしてブルペン待機した男が、今や立派なイニングイーターになっている。

則本に投げ負けたが岡田監督も「悪うないよ、別に。完投させてんのに、何も悪うないやんか、そんなん」と責めることはなかった。「(延長戦の)昨日は関係ないやんか」とした上で「村上はあれぐらいは投げられる、ということやろ。そんなんお前」と不変の信頼を口にした。背番号41は「しっかり投げ切ること、コントロールを意識してやっていきたい」と引き締め直した。ツメの甘さを痛感した夜を、次への糧にする。【中野椋】

▼村上が規定投球回に復帰し、防御率1・83で再びリーグ1位に立った。阪神投手の完投負けは西純が4月6日の敵地広島戦で5イニングを投げ、降雨コールドで敗れて以来。フルイニングを戦っての完投負けは今季チーム初となった。村上の完投は4月22日の敵地中日戦でプロ初完封して以来2度目。これは戸郷(巨人)と並びリーグ最多。