ソフトバンクが今季最多19安打11得点の猛攻で、8月初勝利を挙げた。連敗を「3」で止めた。

6-6の6回2死一塁で、近藤健介外野手(29)が左中間に決勝の15号2ラン。この日は自己最多タイ5打点で、三塁打が出ていればサイクル安打達成という活躍だ。右膝に不安を抱えながら志願出場を続けるヒットマンが、日本ハムとの息詰まるシーソーゲームに決着をつけた。

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ヒーローは手負いの男だった。近藤は日本ハム立野の145キロを振りぬくと、余韻に浸るかのように打席の中でのけぞった。白球は左翼スタンドに着弾。ダイヤモンドはゆっくりと一周した。不安を抱える右膝に優しい、最高の結果だ。

6回、柳田の同点打が飛び出した直後だった。6-6の2死一塁で決勝の15号2ラン。「ギータさんが同点にしてくれたので、楽な気持ちで入ることができました」。7月30日のロッテ戦では、本塁送球の際に右膝を痛めた。首脳陣から代打起用も提案されたが、志願してスタメン出場。気迫でアーチを描いた。

藤本博史監督(59)が絶賛したのは、4点差にされた直後の5回だ。1死一、二塁で右中間を破る2点適時二塁打。近藤は「(十分に)走れない分、なるべくゴロを打たないように。そこは意識しているところではありますけど」と笑い、敗色ムードを振り払った。指揮官は「(4回で)2-6になった時点で雰囲気はすごく悪くなってしまったけど、コンちゃんがいいところでタイムリーを打ってくれましたよね」と話す。決勝アーチと同等ともいえる値千金の一打だった。

近藤で始まり、追い上げ、勝ち越した。1回には先制の中前打。1試合5打点は自己最多タイで、14年以来9年ぶり2度目だ。「5番だったので(打点は)強く意識しました」。三塁打が出ていればサイクル安打達成という活躍ぶり。鉄人の猛打が、今季最多19安打で11得点の打線をけん引。日本ハムとのシーソーゲームを制した。

連敗を「3」で止め、8月は4戦目で初勝利だ。負けていれば貯金消滅の危機を近藤が救った。「なかなかピッチャーを援護できない試合が多かった。それは僕にも責任がある。何とか(試合に)出て、援護していきたい」。真夏の逆襲へのきっかけとなるか。【只松憲】

▽ソフトバンク大関(先発で4回8安打6失点も勝敗つかず)「情けない投球をしてしまいましたが、逆転してくれたチームメートには本当に感謝しかありません」

▽ソフトバンク今宮(5回に16打席ぶりの安打となる中前適時打)「ここしばらく打てていなかったので、このチャンスだけは絶対に打つんだという気持ちだけでした。とにかくタイムリーとなって良かったです。この打席をきっかけにしていきたいです」

▽ソフトバンク牧原大(7回に右前2点適時打を放つなど3安打2打点)「試合の流れ的にも大事な場面で、とにかく気持ち!『気持ち1本!』です。大きい追加点を取ることができて良かったです」

▽ソフトバンク又吉(2番手で2回無失点の好救援。今季初勝利を手にして)「打たれたら次に投げる場所はないと思って投げている。そこだけに集中して投げられたのかなと。チームの勝ちうんぬんというのは野手のおかげ。とりあえず自分ができることだけに専念してマウンドに上がれたかなと思う」

【動画】逆方向へパワーで持っていく…近藤健介が勝ち越しアーチ 本日3安打5打点の大当たり

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