大学ラストゲームを「今までで1番のピッチング」で締めくくった。東北福祉大戦で先発した東北学院大の古谷龍之介投手(4年=北星学園大付)が8回まで毎回奪三振の11奪三振をマーク。試合は0-1で完封負けを喫したが、次のステージへ実りあるラストゲームとなった。東北大は東北工大に2-0で勝利。先発の佐藤昴投手(2年=仙台一)が、自身大学初の完封で今季2勝目を挙げた。

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この日に照準を合わせてきた。「福祉大に勝ちたいという気持ちで1週間練習してきたので、それをぶつけるだけでした。1人1人丁寧に投げました」。気持ちを込めて腕を振った。投球内容には「すごい良かった。四球もなく、三振もけっこう取れた。今までで1番良かったです」と笑顔を見せた。

悔やむべくは9回表、先頭打者の竹中研人内野手(4年=駒大苫小牧)に投じた5球目だ。甘く入った内角スライダーを右翼席へと運ばれた。「1番やってはいけないことだった」。古谷は着弾を見届け、下を向いた。「自信なく投げてしまった。それが唯一。野球はそういうものなんだと感じました」。1球が勝敗を分けた。

この敗戦を糧にする。古谷は9月17日にプロ志望届を提出。高校3年の夏に出した151キロから最高球速に変化はないが、直球、カーブ、スライダーの3つだった球種は大学4年間で7球種に増えた。直球も、大学では最速150キロをマークし、キレや重みが増している。「最後の最後で悔しい思いをした。プロに行けたなら、今日のような場面は絶対来る。自信を持って投げられるように」と古谷。自信を培い、さらに上のマウンドに立つ。【濱本神威】

 

○…東北大は東北工大打線を4安打完封。佐藤は「1点勝負になると思っていた。初回から(全力で)行きました」。初回から2安打を浴び、2死一、二塁のピンチを招いたが動じず。落ち着いて空振り三振に仕留めた。2回から6回までの5イニングは打者15人で終えるなど、テンポの良い投球が光った。佐藤は「まだAクラスの可能性がある。これからの試合は1つも落とせない」。残り3試合、1つも落とさない。