広島が5日、FA移籍した西川龍馬外野手(29)の人的補償として、日高暖己投手(19)を獲得することを発表した。西川が抜けた野手ではなく投手、即戦力ではなく、次世代を担う素材型の指名に至った。

 

今オフ、西川が抜けた野手の補強は外国人選手をのぞけば、ドラフト4位の仲田侑仁内野手(18=沖縄尚学)くらい。今季戦力と計算の立つ野手を求めなかった背景には、新井監督の意向もある。鈴木球団本部長は「基本的には現有戦力の底上げを監督は考えている。野手が抜けたけど、若い選手を伸ばしたいというのが監督の考え」。外国人選手2人が加わった内野だけでなく、今季高卒3年目となる田村や中村貴などがいる外野も候補から外した。現有戦力の野手陣の成長を信じている証しといえる。

 

また、近年のドラフトで大学社会人の投手の指名が偏っていたこともあり、将来性のある若い投手を求めた。「競争力という部分で(即戦力タイプの)選択肢は最初あったが、将来的に考えたときにうちにいない層、成長度が期待できる選手がいた」と鈴木球団本部長。候補選手を絞り込む中でフロントだけでなく、新井監督や藤井ヘッドが名前を挙げたのが19歳の日高だった。

 

22年ドラフト5位で富島から入団し、1年目の昨季は2軍で12試合(1先発)に登板して1勝1敗、防御率3・15だった。183センチから投げ下ろす直球には力があり、チームメートだった山本(ドジャース)と投球フォームが似ており「由伸2世」とも呼ばれる。鈴木球団本部長は「何年か後に柱になる選手になってくれたらという期待はある」と可能性を感じている。昨秋キャンプで片りんを示したドラフト1位斉藤と同期の新たな原石が、新井広島に加わった。【前原淳】

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