今季から新規参入したくふうハヤテが広島を8-0で下し、待望のホーム初勝利を挙げた。今季4度目の先発マウンドに上がった奥田域太(かなた)投手(22)が、8回3安打無四球無失点の好投で初勝利。打線も仲村来唯也(らいや)内野手(24)のチーム1号となる3点本塁打を含む10安打で今季最多8得点と応え、快勝した。7日のオリックス戦に続く白星となり連勝も初となった。

 

奥田域が、くふうハヤテに待ちに待ったホーム初勝利を運んできた。これまでチームの全3勝を挙げてきた早川太貴投手(24)に続き、今季初勝利をつかんだ左腕。地元ファンの拍手と歓声を浴び「誰かが勝たないと『早川さんだけのチーム』になってしまうという思いがあった。勝てて良かった」とかみしめた。

初回。先頭の広島佐藤啓介内野手(22)にいきなり中前へ運ばれたが、冷静だった。けん制で刺し、自ら“仕切り直し”に。奥田域は「体重が二塁側にかかっているのが見えた。けん制は得意な方。あれで落ち着けた」。流れを断ち切ると、快投が始まった。

持ち味の緩急を駆使して打たせて取った。8回を投げ、散発3安打。三塁すら踏ませず、広島打線を封じた。赤堀元之監督(54)は「本当に持ち味を発揮してくれた。テンポも良く、域太が(攻撃への)流れをつくってくれた」と称賛。今季最多8得点の打線爆発を呼び込んだ。

成長を示す92球だった。今季は広島戦を前に0勝2敗。「変化に頼り過ぎていた。やっぱり、真っすぐあっての変化」と敗戦から課題を見いだした。元日本ハムの中村勝投手コーチ(32)らに助言を受けながら、体重移動を意識してフォームを微調整。直球に、より力が伝わる形を模索した。「今日は真っすぐを中心に投げられた。だからこそ、変化も生きた」。チェンジアップやツーシームがさえ、凡打の山を築いた。

9回にマウンドを譲り、球団初の「完封投手」とはいかなかった。それでも、奥田域は「気持ち的には投げさせてもらいたかったけど、そこは監督が決めること。完封という目標が残ったことをプラスに捉えて、頑張っていきます」と充実した表情で汗を拭った。【前田和哉】