「え…?なんですか?」ソフトバンク谷川原健太捕手(27)は思わず聞き返した。
会話の相手は同じ捕手の先輩、嶺井博希捕手(33)。嶺井のハスキーボイスと琉球弁が混ざった声は、しばしば他人から「聞こえづらい」と言われるそうだ。筑後のロッカーは隣同士。顔と顔を合わせての会話でも、谷川原は一度で聞き取れなかった。
谷川原が「嶺井さん、打てないです」と心境を吐露した時だった。かえってきた言葉は「人生一度なんだから、楽しめよ」だった。「プロ野球人生は短いんだから。もうちょっと楽しんだら?」。谷川原は「胸に刺さりました。開き直れました」と言う。ただ、一度で聞き取れなかったのは痛恨? だったようだ。先輩の励ましの言葉を二度も言わせてしまい「聞こえなかったのでもう1回聞いてしまったっす…」と苦笑いした。
1軍本拠地で行われた2軍中日戦。3-3の8回無死一、三塁で決勝の右前適時打を放った。走攻守のそろった万能型のキャッチャーだが、1軍では同い年の海野がスタメンマスクを被る日も多い。「悔しいですけど、それを気にしすぎたら自分のプレーができなくなる。今は気にしないように。自分のできることをしようと思っています」。ウエスタン・リーグでは打率2割4分7厘、0本塁打、10打点。嶺井の言葉通り、谷川原は今を全力で過ごす。【只松憲】



