日本ハム山県秀内野手(23)がプレッシャーに打ち勝った。楽天戦(エスコンフィールド)の延長11回無死二塁、万波に代わって“ピンチバンター”として登場。失敗が許されない場面で三塁側へ犠打をきっちり転がして走者を三塁へ進めた。惜しくも得点にはつながらず、チームは連敗で2カード連続負け越しとなったが、しびれる場面で成長した姿を見せたルーキーが一筋の光をもたらした。この日、ソフトバンクも敗れたため、首位と1ゲーム差は変わらなかった。
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出番は突然だった。延長11回無死二塁。ベンチにいた山県は山田バッテリーコーチと目が合った。「バント行くぞ」と声をかけられて「えっ…バントすか」とちょっと差し込まれた。直前までベンチ裏で守備固めの準備もしていたため、あまり状況整理もできていなかった。「誰の代打だろう…万波さん! えーっ」。大きなプレッシャーの中で急いで打撃用防具を身に着け、ベンチを飛び出した。
打席に入る前には、日頃からバントの指導を受ける森本外野守備走塁コーチが声をかけてくれた。助言は3つ。(1)自分で決めなきゃと思いすぎるな。(2)両サイド(一、三塁手)が出てきても慌てるな。(3)誰でもプレッシャーかかる場面だから、やれることをやろう。山県は「気が楽になった。もう決めるしかないと思って打席に入れた」。カウント2-1からの4球目を三塁線へ転がし、見事に送りバント成功させた。
シーズン序盤はバント失敗で落ち込むこともあった。2軍落ちした際は佐藤2軍打撃コーチ、再昇格後は森本コーチ、谷内コーチ、先輩の中島、伏見にも助言をもらいながら必死に練習。「やっぱりバントできる人って自分の形があって、タイミングがしっかり取れて、あとは『大丈夫』というメンタル」と地道な練習で身に着けた技術と強いメンタルがチームの大きな武器に変わろうとしている。
新庄監督も「よく決めましたね。練習の成果を出してくれました」とたたえた大仕事。この日は勝利に結び付かなかったが、ルーキーが見せた確かな成長の跡が、もっとしびれる9月の戦いでも必要になるはずだ。【木下大輔】



