日本人初のMLBスカウトたちは、昨今の変化を肌で感じている。カージナルス日本駐在スカウトの大慈彌(おおじみ)功氏(69)によると、日本駐在スカウトを派遣しているMLB球団は20球団前後と増減はない。それでも、昨年1月にアスレチックスとマイナー契約を結んだ桐朋(東京)森井翔太郎投手兼内野手(19)の存在をはじめ、日本人アマチュア選手たちをチェックする担当スカウトたちの目の色が変わっている印象を受けるという。
「森井がアメリカに行ってから、駐在スカウトたちの中で昨年のアマに対するスカウティング活動は非常に活発でしたね。日本のアマチュアトップ選手は見逃さない気持ちが出てきている」と実感した。
野球の本場アメリカに行くことは、早ければ早いほどいい。コンピューター技術やビジネス英語習得のために80年代後半から4年半の英国留学の経験がある大慈彌氏は「自分の身に置き換えた時も、外に出て見聞を広げることは人生を豊かにし、非常に素晴らしいことでした」と振り返る。スカウト目線に立っても、その姿勢は変わらない。
アマチュア球界で最近の話題といえば、最速159キロ右腕の佐藤幻瑛投手(3年=柏木農)の異例の決断だ。将来のメジャー挑戦を見据え、仙台大からペンシルベニア州立大へと編入を決めた。今秋のNPBドラフト1位と目された男の選択に大きな衝撃が走ったが「日本の大学を卒業してから海を渡るのと比較して、はたしてどっちがいいのかは私には分からない。ただ、自分の夢をかなえるためにいち早くアメリカに行って、英語を習得して環境に慣れることは今後の選択肢の1つになると思います」と見解を示した。
コロナ禍を機に「ハンバーガーリーグ」とも呼ばれるマイナーの環境は大きく改善され「ルーキーリーグでも、シーズン中なら今のレートで毎月30万円はもらえる。栄養学を学んだスタッフが同行し、しっかり選手を育てていこうという態勢が整いつつある」と指摘。ただ、夢のメジャー切符をつかめるのは、ほんのひと握りだ。
最近ではNPB球団から声がかからない選手にも、MLB球団からオファーが届くようになった。挑戦ばかりがクローズアップされるが、あくまで将来的にメジャーで活躍する実力があってこそだ。「その子たちのビジョンをきちんと描いてあげないと。やみくもに取っていては彼らの将来をつぶしてしまうことだってある」。警鐘を鳴らすことも忘れない。【平山連】



