巨人監督としてV9を達成した川上哲治氏(日刊スポーツ評論家)が、逝去していたことが30日、明らかになった。93歳だった。川上氏は28日の午後4時58分、東京・稲城市内の病院で亡くなった。故人の遺志により、すでに近親者のみによる密葬を行った。

 家族によると、川上氏は春先に自宅での転倒による肋骨(ろっこつ)の骨折を引き金に、持病の心臓病が悪化。一時は歩行やボール投げなどのリハビリをするところまで回復したが、その後は全身の免疫状態が低下するなど老衰の症状が急速に進んだという。

 川上氏は熊本工から38年に東京巨人軍に投手として入団し、その後、打者に転向した。赤バットがトレードマークで39年には打率3割3分8厘で、史上最年少の19歳で首位打者を獲得。人間離れした打撃術から「打撃の神様」といわれた。

 61年に巨人監督に就き、65~73年まで9年連続リーグ優勝、日本一の黄金期を築いた。