日本ハムが、今オフにフリーエージェント(FA)権を取得する稲葉篤紀外野手(35)に対して早期引き留め交渉を検討していることが6月30日、分かった。打線の要、精神的支柱として06年の日本一などチームの近年の躍進に貢献。シーズン中に本人の意向を聞く場を設け、権利を行使した場合には、その場で来季以降も再契約したい要望を伝えるつもりで調整を進めていく。

 球団幹部は「シーズン中ということもあるが、できるだけ早めに話はしたい」と方向性を明かした。ヤクルトから04年オフにFA宣言し、05年に日本ハム入りしてから4年目。今オフで2度目の権利を取得する。8月で36歳になるベテランだが、昨季は首位打者を獲得するなど技術、体力の衰えも見られない。攻守交代時の全力疾走など野球に対する真摯(しんし)な姿勢を高評価しており、若手選手へ与える好影響が大きいと判断している。

 日本一になった06年オフには小笠原が巨人、岡島がレッドソックスへFA移籍。選手が得た権利として尊重し、行使については他球団と比較して、寛容な対処をしてきた。稲葉についてはかねて残留し、日本ハムで現役生活をまっとうする意思を公言している。ただ万が一の「流出」を防ぐため、権利を行使するか否かの意思確認を行い、熱意と誠意を示す早期交渉の場を設ける。