<広島5-14阪神>◇19日◇広島

 阪神関本賢太郎内野手(29)がダメ押しのグランドスラムだ。4点リードとした6回1死満塁。ボールカウント2-1から広島上野の136キロ内角低めシュートをコンパクトに振り抜いた。今季7月25日の中日戦(甲子園)で川上からプロ12年目にして初の満塁弾をマークしたばかり。それから25日目の2本目。大声援を背に引き揚げる際には「フフッ…」と苦笑して驚きを表現した。

 「チョ~まぐれです。外野フライ(犠飛)でもいいやと思っていたけど、それすら今日の感じでは打てるかどうか分からなかったから…。そんな状態だったけど打てて良かった」。

 主軸を任され奮闘していた矢先の今月7日、腰痛が限界を越え、スタメン落ち。腰のキレもベストと言えない状況で、この日も7番起用。無死一塁で回った第1、2打席は走者を進められない外野フライと併殺打に倒れていた。この数試合、バットを指2本以上余らせて持った。練習で次打者席で、バットの芯(しん)付近を持ってコンパクトに振るイメージを植え付ける「儀式」を幾度となく繰り返した。

 逆境の中「オレは満塁に強い!」と自ら暗示をかけた。「そう自分に言い聞かせてたから…」。これで満塁のシチュエーションでは打率7割7分8厘(9打数7安打)18打点。シーズン満塁本塁打の球団記録は05年今岡の4本だが、その年は29本塁打で球団記録147打点。一方の関本は、これがわずか6号にして39打点。得点圏打率は3割8分8厘(67打数26安打)34打点。リーグトップ36犠打とつなぎ役をこなしながら、いかにパンチある仕事をこなしているかが分かる。

 「ホームランの後、アウトになったけど、良い感じて打てたから明日につながると思う」。チームとともにトンネルを抜けた。驚きの快打は今後、確信の1本に変わるかもしれない。【片山善弘】