<パCS第1ステージ:オリックス1-4日本ハム>◇第1戦◇11日◇京セラドーム大阪

 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ第1戦(京セラドーム大阪)で日本ハム・ダルビッシュ有投手(22)が、オリックス打線から14三振を奪い、9安打1失点の完投勝利をマークした。プレーオフ、CSでは06年に西武松坂(現レッドソックス)が記録した最多奪三振数13を更新。さらに06年から負けなしの4勝目と大舞台での勝負強さを発揮した。12日の第2戦で一気に第2ステージ(17日~)進出を決める。

 最後の139球目が、今季最速タイの153キロだった。代打浜中のバットが空を切る。ダルビッシがほえて試合を締めた。短期決戦の大事な初戦で完投勝ち。「こういう試合で勝つためにやってますから。負けるわけにはいかない」。当然とばかり胸を張った。

 序盤は不安定さをのぞかせた。初回の先頭坂口にバント安打を決められ、1死後のカブレラの打球は右足くるぶし外側を直撃。「よく当たるけど今日のは一番痛かった」。試合後「歩くのも、つくのも痛かった」と漏らしたが、マウンドでは無表情を貫いた。

 変幻自在の“カメレオン投法”だった。2回までは直球、スライダー主体で4安打された。ベンチで鶴岡と“緊急会議”。その後はツーシーム、フォーク、チェンジアップ多投のスタイルにガラリ変更し、三振の山を築いた。「(9月に使用が少なかった)ツーシーム、フォークはこういう試合のために取っておいた。相手も面食らったのでは」と満足そうだった。

 シーズン自己最多タイの14奪三振。松坂超えのプレーオフ、CSの最多奪三振記録のおまけ付きだ。厚沢投手コーチは「2回までの荒々しさも彼の魅力だが、1試合の中で投球フォーム、投球スタイル、持ち球を完全に変えられるのは彼くらい。あれができるから絶対エース」と絶賛。梨田監督も「本当にいい仕事をしてくれた」と頼れるエースの存在に目を細めた。

 153キロは6球、150キロ超えが36球もあったが、それ以上に変化球がさえた。「力でいく必要がなかったので勝つピッチングでいった。とりあえず明日、藤井さんにしっかり」。リリーフ投手を1人も使うことなく大役を終えたダルビッシュで、日本ハムが王手をかけた。【村上秀明】