ロッテが、来季監督に西村徳文ヘッドコーチ(49)を昇格させる方針を固めたことが13日、明らかになった。ボビー・バレンタイン監督(58)は、任期満了に伴い今季限りでの退任がすでに決定している。水面下で候補者を模索していたが、ロッテ一筋の生え抜きに後任を託すことで一本化した。2軍監督には高橋慶彦打撃コーチ(52)を起用して、チームの立て直しを図ることも決まった。

 ロッテの後任監督が早くも決定した。重光オーナー代行、瀬戸山社長、石川副代表ら球団フロント陣が話し合い、西村ヘッドコーチの監督昇格で一本化した。球団関係者は「今年から球団が取り組んでいる長期的な改革の土台を築ける人。選手からの人望も厚く、チームの立て直しに最適と判断した」と話した。

 球団は昨年12月に今季限りでのバレンタイン監督の退任を発表した。監督および監督の推薦でチーム入りした外国人コーチ、スタッフなどの年俸が総額約8億円にまで膨れ上がり、景気悪化の中で本社から球団の在り方の見直しを図るよう要請があった。さらに監督がフロントの意見に耳を貸さなくなり、独断的に編成を行ったことで関係各所とトラブルが発生したことも要因となり、異例ともいえる早期退任が決まっていた。

 重光オーナー代行は3月15日にオープン戦視察のために訪れた千葉マリンで、「今年のペナントで日本一になったとしてもバレンタイン監督の続投はない」と、あらためて退任の方針を明言していた。

 水面下で、球団OBや元メジャー経験者などを中心に人選を進めた。最終的にロッテ一筋28年の生え抜きで、現在のチーム状況を最も把握している西村ヘッドコーチに白羽の矢を立てた。現役時代は外野手として首位打者や盗塁王に輝き、97年に引退後は1軍コーチを歴任。万年Bクラスと低迷していた時期を知る苦労人でもあり、また05年にはヘッドコーチとして日本一へとけん引している。

 今季のロッテについて、球団関係者からは「チーム内が荒れている。選手が、フロントと監督の確執に振り回されてプレーに集中できないのではないか」と言う声も出ている。開幕カードの西武戦こそ2勝1敗で勝ち越したものの、その後の日本ハム、オリックスに5戦全敗で最下位に低迷している。この状況を打破するためにも、新体制を固めたようだ。

 球団は再建に向けてのもうひとつの目玉として、高橋打撃コーチを2軍監督に据える。広島時代は厳しい練習で盗塁王やベストナインを獲得した実績を持ち、04年にロッテコーチ就任後はスパルタ教育で西岡、今江らを育てた手腕が評価された。バレンタイン政権下では2軍でも投球制限がもうけられるなどした。練習不足ではないか、との声も出ていた。来年からは徹底指導でチーム力の底上げを図ることになる。球団が「改革元年」と位置付けた今年、開幕わずかの段階で早くも第1歩が固められた。

 [2009年4月14日8時21分

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