<オリックス3-0横浜>◇5月31日◇スカイマーク

 ちょうど1週間前の巨人戦で602日ぶり勝利をつかんだオリックス平野佳寿投手(25)が、今度は663日ぶりの完封勝利を飾った。最速148キロの直球とネット裏で視察した野茂テクニカル・アドバイザー(TA)直伝のフォークで横浜打線を圧倒。散発6安打で三塁を踏ませず、07年8月7日ロッテ戦以来の7度目の完封勝ち。昨年3月の右ひじ手術後初の本拠地お立ち台で「完封してやろうと思ってた。ここに立つことを目標にやってきました」。招いた両親、祖母を前に声も弾んだ。

 復活の背景に原点回帰があった。開幕直後、逆流性食道炎による不調で降格した際、酒井勉2軍投手コーチ(45)に言われた。「大学から見てるけど今が1番良くないぞ」。05年に希望枠で入団した当時のスカウトこそ酒井コーチだった。

 勧められたのは制球を乱しがちなワインドアップ投法の封印。鳥羽高で甲子園に出場し、京産大で関西6大学新の36勝をマークし、プロ1、2年目にローテの中心を担ったセットポジション投法への回帰だった。「バランスが良くなり、キレ、制球も良くなりました」。前回巨人戦で戻した旧フォームこそ、復活の原動力だった。

 試合前には、野茂TAから横浜対策を授かった。「どんどん真っすぐで押していけばいい」。前日ネット裏から横浜打線を分析し、速球が一番の武器と判断。この金言を信じて投げた。

 前日の金子に続く快投で、野茂TAから「チームは10連勝しそう」と期待された大石監督も「野茂もほめていた。平野は完全復活といえる」と絶賛。輝きを取り戻したエースが6月反攻を先導する。【松井清員】

 [2009年6月1日11時56分

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