「元祖ジョー」阪神真弓明信監督(56)が、V戦力獲得で来季への自信を深めた。27日、マリナーズを退団した城島健司捕手(33)の入団決定を受けて「一緒に優勝を目指して頑張っていきたい」と話した。自ら交渉にも出馬した大物獲得で目標の5年ぶりのリーグ優勝に近づいた。大補強と平行し、29日からの秋季キャンプで現有戦力の底上げに向けて猛練習を課す方針。戦力補強と育成をミックスさせて悲願達成に向け、突き進む。

 近年まれに見る大型補強成功に、指揮官のコメントもはずんだ。真弓監督は「信じていたけど、決心してくれてホッとしています。一緒に優勝を目指して頑張っていきたい」。中軸を打てる右打ちの強打者で、ワールドクラスの守備力を持つ捕手。33歳の元メジャーリーガーの獲得を喜んだ。

 まさにV戦力だ。城島のマリナーズ退団を受けて「極端に言うと、優勝争いができる戦力になる」と最大級の賛辞を送った。さらに23日には福岡市内での初交渉に電撃出馬。交渉の席で「何とかこっちに来て(阪神の)優勝に力を貸してくれ」と口説いた。熱意は通じ、念願はかなった。

 城島への期待は大きい。真弓監督は「守備では肩やリードはもちろん、伸びていってほしいピッチャーたちも育ててほしい」と話した。マリナーズだった07年にはア・リーグ1位の盗塁阻止率4割6分5厘をマークした強肩。さらに今季13勝の能見、WBC日本代表の岩田ら投手陣への「城島効果」を期待している。

 攻撃面でも長年の懸案をクリアできる。「攻撃ではこれまでの実績通り、打率も高くホームランも打てる選手なので期待している」。日米通算15年で打率2割9分、259本塁打、897打点。「打順についてはこれから考えていきたい」と話したが、スケールは抜群。攻守で劇的にチームを変える大物加入となった。

 もちろん城島獲得に甘えるつもりはない。真弓明信監督は秋季練習を打ち上げたこの日、安芸キャンプのテーマに「しつこく、長く、細かく」を掲げた。全体練習は午前だけで、午後は個別練習を徹底。各選手の課題克服にコーチがつきっきりで指導する。「身についた癖、習慣をとるには時間がかかる。個人練習は(時間を)区切らなくていいかなと思う」とロング練習を予告。28人の参加メンバーを「もう少し少なくしたかった」というほど、少数精鋭を鍛え上げる覚悟だ。

 城島の印象について「野球に対してまっすぐだし、野球が好きで試合に出たいという気持ちが伝わってきました」と指揮官。大型補強と育成を両輪として、まっすぐにリーグ優勝を奪いにいく。

 [2009年10月28日11時23分

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